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貧血について

一条通病院 検査科 朝倉 健太
「道北の医療」2024年3月号掲載

めまいがしたり・・・ふらっとして倒れそうになったり・・・皆さんになじみのある病気、それが『貧血』です。
「貧血」というのは病気ではなく「状態」です。大切なことは、「なぜ貧血になるか」を知ることです。

貧血とは、血液中の赤血球が基準値よりも低くなった状態を言います。赤血球の中にあるヘモグロビンが酸素を細胞に届ける働きをするため、赤血球が不足すると息切れや動悸などの症状が現れます。日本人の10人1人が貧血と言われており、女性や高齢者の方に多く見られ、女性は、生理による出血や妊娠、ダイエットなどの原因があり、高齢者の方は、消化管出血や感染症、癌などの病気による原因が多いです。
貧血になると、本来は充血しているはずの眼瞼結膜(アッカンベーをした時の目の下の部分)が蒼白になります。これが最もわかりやすい身体所見で、診断は採血をして血液検査により確定します。

貧血の種類

貧血にも再生不良性貧血や巨赤芽球性貧血、溶血性貧血、悪性貧血など様々な種類がありますが、その中でもよく見られるのが鉄欠乏性貧血です。ヘモグロビンを作るために必要な鉄が不足する貧血で、およそ70%がこの貧血です。鉄の摂取不足や生理による出血だけでなく、子宮筋腫や消化管出血、がんなどの病気が原因の可能性もあるため注意が必要です。鉄や葉酸など、赤血球を作るために必要な成分は体内に蓄えられているため、すぐには貧血にはなりません。しかし、一度不足してしまうとすぐに補充も出来ないため、日頃からバランス良く摂取する必要があります。また、高齢者の方は食が細くなり、胃や腸の吸収能力が衰えるため気づかないうちに貧血になることもあります。

まとめ

大切なことは、「気付くこと」、「知ること」です。めまいや息切れ、動悸などが実は貧血が原因かもしれません。貧血は気軽に調べられますので、まず検査をしてみることが大切です。また、健康診断で貧血と分かっている人は「たかが貧血」と軽く見ず、原因を調べることも必要です。貧血は、消化管出血やがんなどの病気のサインかもしれません。

気になる方がいましたら医師や看護師にご相談ください。

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