元旦に起きた能登半島地震に心を痛めている方も多くいらっしゃると思います。
今回は薬剤師の視点から防災とお薬について考えます。大規模な災害が起きると、72時間は救急・救命が優先されるため、通常診療はそれ以降になる可能性があります。災害後の混乱も考慮に入れて、いつも服用しているお薬は3~7日分ほど余裕をもって準備しておく必要があります。
また、けがや打撲など応急手当が必要になることも想定して、可能であれば消毒薬や冷湿布などを常備してください。
「お薬手帳」の重要性
災害時には停電で電子カルテが使えなくなるなど、いつものお薬が分からなくなることがあります。お薬手帳があれば、お薬の情報はもちろんのこと、過去の処方の変化からたくさんの情報を読み取ることが可能です。アレルギー症状や副作用を未然に防ぐこともできます。
さらに避難所生活が長期化すれば、さまざまな事情により避難所を移っていく方も少なくありません。お薬手帳に血圧や身体の状態などを書き込むことで、医療に関する総合的な情報を医療スタッフが共有する手段にもなります。
「災害処方箋」とは
大規模災害時には、必要な医薬品を提供するために「災害処方箋」が適用される場合があります。災害処方箋とは、災害救助法に基づいて、救護所や避難所など医療機関以外で発行される処方箋のことです。
東日本大震災の被災地支援を経験して
過去、被災地支援を経験しました。被災地では民医連が日赤や行政がカバーしきれない地域を周って細かなフォローをしていました。さらに被災者の声を拾い上げて国や行政に情報提供し、問題解決につなげていたことは民医連だからできることだと痛感しました。そして、自らも被災しながら自宅に帰らず被災者支援を続ける職員たちの献身的な姿は忘れません。
備えの大切さと教訓を未来へ
災害への備えを意識しても、なかなか続かない方も多いと思います。日頃から地域や行政が発信する防災に関する情報やその環境づくりを注視しながら、教訓を未来へつないでいくことが大切です。
※原文はいつでも元気3月号「くすりの話」から抜粋しました。