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CT検査について

一条通病院 放射線科 西村 亮汰
「道北の医療」2023年9月号掲載

CTって何?

CT装置とはComputed Tomography の略で、X線を使った画像診断装置です。X線管球(X線を発生させる装置)とX線検出器が患者さんの周囲を回転して、人体を透過してきたX線の量を検出し、コンピューターで計算して体の断層画像を構成します。CTを撮影する目的は、病気の精密検査、手術前の精密検査、術後や治療の経過観察、健診でのスクリーニング検査など多岐にわたり、日常診療に欠かせない医療機器となっています。

一条通病院では、今年の3月から新しいX線CT装置が稼働しています。

新しいX線CT装置の横に立つ西村亮汰技師
新しいX線CT装置と西村亮汰技師

高速、高画質、低被ばく

技術の進歩により、性能が格段に向上しました。

まずは撮影スピードですが、短時間で広い範囲の撮影が可能になりました。例えば息止めが必要な胸部の撮影では、2~3秒の息止めで終了します。また、息止めの出来ない患者さんでも、呼吸の動きの影響の少ない画像が撮影できるようになりました。

また、コンピューターの処理能力も向上しているため、膨大なデータを瞬時に計算し、画像を作り出すスピードも向上しています。さらに、新たなノイズ低減技術により、腕の挙上ができない患者さんや、体内に金属インプラントを装着している患者さんでも高画質な画像を保つことができるようになりました。

また、CT検査は放射線検査の中で比較的被ばくの多い検査ですが、装置更新前と比較して、画質を維持しながら最大で約75%(撮影部位による)の被ばく低減を実現しています。

様々な診断補助機能

CT検査では、様々な画像解析ソフトを活用することで、病状の進行具合を数値で表し、経過を追って評価することができます。

例えばメタボリックシンドローム診断の第一段階である「内臓脂肪蓄積型肥満」を評価する目的の「内臓脂肪計測」があります。これはおへその位置の断面画像から、皮下脂肪面積、内臓脂肪面積を計測するものです。

また、「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」の原因である「肺気腫」の評価もできるようになりました。肺の中には沢山の仕切り壁があり、仕切られている一つひとつの部屋は肺胞と呼ばれます。「肺気腫」とはこの肺胞の仕切り壁が喫煙歴や副流煙、大気汚染などによって破壊されて肺胞同士が融合してしまい、その数が減っていく病気です。「肺気腫計測」では肺の断面画像から「肺気腫」の面積の割合を算出し、疾患の程度を評価することができます。

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