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胃カメラについて

一条通病院検査科 神田 梨那
「道北の医療」2023年4月号掲載

皆さんは胃カメラをご存じでしょうか? この記事を読んでいる方の中にも、一度は受けたことがある方や、「苦しそう…、辛そう…」などマイナスのイメージを持たれている方も多くいるのではないかと思います。今回は、その胃カメラについてお話しします。

胃カメラは、正式には「上部消化管内視鏡検査」と言います。口や鼻からカメラがついている細長いチューブを入れ、消化管をリアルタイムに見ていく検査です。胃カメラでは、食道・胃・十二指腸までを直接観察することができるため、同じ胃の検査として行われているバリウム検査では見つけることが困難な小さな疾患を早期発見することが可能です。また、組織の一部を採取して細胞を調べることで確定診断が行えます。

胃カメラで見つかる疾患の例として、胃がん・食道がん・逆流性食道炎・胃ポリープ・胃潰瘍・十二指腸潰瘍などありますが、この中でも胃がんのリスクは40代から上昇していきます。早期の胃がんには、初期症状が少なく、自覚症状が現れるのはかなり進行してからがほとんどのため、症状が無くてもリスクの高くなる年齢になったら胃カメラを受けることをおすすめします。また、胃がんの方の多くにピロリ菌の感染に伴う慢性の胃炎が生じていると言われています。ピロリ菌に感染していた場合、薬で除菌することで胃がんの発症リスクを下げることができます。

検査の流れ

検査前日の夕飯は21時頃までには済ませます。それ以降は当日の朝も含めて何も食べないようにします。水は少量飲んでも大丈夫です。薬の服用については、事前に医師や看護師に相談しておきましょう。来院後は、まず前処置として胃の中をきれいにするための液体を飲みます。その後、喉または鼻の麻酔をしてから、口や鼻からカメラを挿入し検査を実施していきます。検査時間は5~10分程度で終了します。

楽な受け方のコツ

胃カメラは、患者さんにとってやや負担のかかる検査です。検査前は憂鬱な気分になる方もいると思います。検査での苦痛を少しでも最小限にするためのコツをご紹介します。


  1. 一番大切なのは、肩の力を抜いてリラックスすることです。特にカメラが喉を通るときはできるだけ力を抜きましょう。それでも力を抜くのが難しい場合は、大きな飴玉を飲み込むようなイメージでカメラを飲みましょう。
  2. 息は、鼻でも口でも楽な方で深呼吸をするようにゆっくりと呼吸をしましょう。吐くときは、ため息をつくように「ハー」と長く吐くことがポイントです。
  3. 検査中、唾液は飲み込まず、ダラダラと口の外に出してください。飲み込んでしまうと気管に入ってむせたり、肺炎を起こすおそれがあります。
  4. 胃の観察のために少しの間カメラから空気を送って胃を膨らませます。この時お腹が張った感じになりますが、なるべくゲップを我慢してください。我慢できると検査が早く終わります。

以上の4つを心掛けることで少しでも楽に検査が行えると思います。

胃の症状などに少しでも心配なことや気になることがある場合は医師にご相談ください。

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