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フレイル予防について

一条通病院リハビリテーション科 理学療法士 主任 山本 さやか
「道北の医療」2023年2月号掲載

皆さんは「フレイル」という言葉をご存じでしょうか? これは、“虚弱” “老衰”などを意味する英語「Frailty」(フレイルティ)をもとにした言葉で、わかりやすく言えば「加齢により心身が老い衰えた状態」のことです。「健康」と「要介護」の間の状態で、運動など何もしないと要介護になる可能性があります。一説では、日本の高齢者の約300万人がフレイルの状態にあると推定されています。しかし、生活習慣を見直せば健康な状態に戻ることができます。

もしかしたら、気づかないうちにあなたも「フレイル」や「プレフレイル(前段階)」になっているかもしれません。簡単なセルフチェックで確認してみましょう。

フレイルチェック項目

3項目以上に該当する場合はフレイル、1~2項目に該当する場合はプレフレイル、該当なしが健常となります。

3項目以上ついてドキッとされた方、今からでも遅くはありません。高齢になっても積極的に身体を動かすことで筋力を維持・向上できることが知られていて、少しずつ適切な運動を行うと、健康寿命を延ばす可能性があります。身体の筋肉の6~7割は足腰の筋肉でできています。「立つ・座る・歩く」と言った基本動作を支えてくれています。足腰の筋肉を鍛えて、いつまでも動ける身体づくりをしましょう。

フレイルと運動との関連は極めて強く、早期からの予防が大切です。まずは、ご自宅で簡単にできる体操から始めてみてはいかがでしょうか。「健康づくりのための身体活動基準2013」では、体力(全身持久力・筋力)の向上や運動器の機能向上のためには、最低限「30分以上の運動を週2日以上」行うことが推奨されています。始めようと思っていても、なかなか継続させるのは難しいものです。日々の生活の中で少しずつ取り入れていくと無理なく続けることができます。

筋力トレーニング
  1. スクワットは、足の筋肉で一番大きい大腿四頭筋の運動です。拭き掃除をする時や洗濯物を取り込むときなどに行っても良いでしょう。
  2. 片脚立ちは足全体のバランス能力を鍛えます。テレビ視聴や料理している合間にできるでしょう。
  3. かかと上げの下腿三頭筋は「第2の心臓」と言われており、循環機能にも影響を及ぼします。食器洗いや立ち仕事の際に意識して頂けると良いかと思います。

また、冬季になると積極的に地域コミュニティなどへの参加が困難となり孤立しやすくなります。その中でも楽しく運動を行うには、一緒に運動を楽しむ仲間が継続につながります。これから運動を始めるという方は、友の会などで実施している健康体操などに参加するのも良いでしょう。

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