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クスリにまつわるお話し

一条通病院薬剤科長 小泉 洋卓
「道北の医療」2022年8月号掲載

錠剤やカプセルには製剤設計上の工夫が施されている場合があります。例えばリクシアナOD錠、ガスターD錠、ユニフィルLA錠、ボルタレンSRカプセル、アダラートCR錠等、他にもたくさんあります。これらの薬には製剤設計上の工夫を示す表記として、名前の後ろにアルファベットがついています。今回は、これらの製剤設計上の工夫を表すアルファベットの意味について、主なものを大きく二つに分けてお話ししようと思います。


一つ目は「水無しで飲める」という意味の表記です。リクシアナOD錠やガスターD錠などが該当し”Orally Disintegrating(口腔内崩壊)”を表しています。その名のとおり口腔内崩壊錠と呼ばれ、唾液のみや少量の水で飲むことも可能なため、嚥下能力に困難を抱えているような方でも飲みやすいという利点があります。

一方、唾液だけでも溶けるよう設計されているため湿度に弱い・軟らかく欠けやすいなどの欠点があります。

また、”D“や”OD”以外にも同様の工夫が施されている薬があります。例えばゾーミッグRM錠は”Rapid Melt(速溶)”、マクサルトRPD錠は”Rapid Disintegrating(速崩壊)”を表していますが、”D”や”OD”と同じ意味の表記として使われています。


二つ目は徐放性製剤と呼ばれるもので、「徐々に放出する」という意味の表記です。ユニフィルLA錠やムコソルバンL錠などは”Long Acting(長時間作用)”、ボルタレンSRカプセルは”Slow Release(ゆっくり放出)”、アダラートCR錠は”Controlled Release(調節された放出)”、ヘルベッサーRカプセルは”Retard(遅らせる)”を表しています。

これらの薬は消化管内から徐々に有効成分が吸収されるため、少ない服用回数で長時間作用が持続するという利点があります。一方、錠剤を割ったり粉砕したりすると、徐放性を維持するために設計された構造が破壊され、薬の成分が急速に体内に吸収されてしまい副作用が発現しやすいという欠点があります。

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