【道北の医療 2017年5月号記事より】
2017年3月道路交通法改正
高齢運転者の対策強化
検査、診断に一条通病院「もの忘れ外来」が対応
高齢化社会が進む中、認知症のおそれのある高齢運転者の交通事故が社会問題化しています。
警察庁は平成27年の75歳以上運転者の死亡事故件数が75歳未満の2倍以上で、その約半数が事故前に「認知症のおそれ、または認知機能低下のおそれあり」と判定されていたと発表しています。
そのような中、今年3月12日に道路交通法が改正され、高齢運転者の認知症チェック体制が強化されました。
地域に高齢者運転の不安広がる
精神保健福祉士として地域の高齢者、その家族からの相談を受ける道北勤医協ソーシャルワーカーの今由佳理さんは、「最近、高齢運転者のブレーキとアクセルの踏み間違い等による交通事故の報道が世間を騒がしています。家族から『認知症状がある父親の運転を止めさせたい。どうしたらいいのか』等の相談が増えています」と心配と不安の声が地域に広がっている実態を語ります。
法改正で認知症対策強化すすむ
3月改正の道路交通法では、75歳以上の高齢運転者の認知症対策として3年に1度、免許証の更新時のみ受けることになっていた「認知機能検査」を、改正後は認知機能が低下すると起こしやすい「18の違反行為」があった場合、3年を待たずに臨時で「認知機能検査」を受けることになりました。「18の違反行為」とは、赤信号無視・通行禁止の道路を通行・一時停止せず交差点に進入等が挙げられます。
さらに「認知機能検査」の結果“認知症のおそれあり”と判断された方は「臨時適正検査」で専門医の診断を受けるか、診断書の提出をしなければなりません。
認知症が認められた場合や検査を受けなかった場合は免許の取り消しか停止が行われることになります。
一条通病院のもの忘れ外来では、この「臨時適性検査」、診断書の記載が可能です。予約制ですので、必要な方はまずご相談ください。
免許返納者の移動手段への公的支援が必要
今後の対応について、今さんは「法的には厳しく取り締まりつつも、国の政策として免許証を自主返納した高齢運転者に対し、タクシーの助成支援等の整備が必要ではないでしょうか」と高齢運転者対策への法的整備に併せて、免許返納者の移動手段への公的支援の重要性を指摘しました。
認知症の簡易検査プログラムを利用しましょう
一条通病院ではアルツハイマー認知症の早期発見につながる「もの忘れ相談プログラム」を導入しました。これはタッチパネルパソコンを使った、アルツハイマー型認知症をみつけるのに最も重要な質問を用いた簡単なスクリーニングテストプログラムです。時間も5分程度で済みます。
認知症についてご心配の方は、遠慮なくご相談ください。