http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/1/285/201702171107274576.png
qrcode.png
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/
モバイルサイトにアクセス!

 
医療法人道北勤労者医療協会
〒078-8341
北海道
旭川市東光1条1丁目1-16
TEL:0166-33-1117
FAX:0166-32-6925
 
●医療機関

 
〒078-8341 旭川市東光1条1丁目
TEL : 0166-34-2111 
 
〒078-8341 旭川市東光1条1丁目
TEL : 0166-34-1136
 
■旭川医院(デイケア併設)
〒070-8003 旭川市神楽3条4丁目
TEL : 0166-61-1117
 
■旭川北医院(デイサービス併設)
〒070-0842 旭川市大町2条14丁目
TEL :0166-53-2111
 
■ながやま医院(デイサービス併設)
〒079-8415 旭川市永山5条11丁目
TEL : 0166-46-2211
 
■宗谷医院(デイサービス併設)
〒097-0001 稚内市末広3丁目
TEL : 0162-24-1117
 
 
老人保健施設

 
■老人保健施設 かたくりの郷
〒070-8003 旭川市神楽3条4丁目
TEL :0166-63-1165
 
 
●デイサービス

 
■一条ケアセンターデイサービス
〒078-8341 旭川市東光1条1丁目
TEL : 0166-31-1152
 
 
●訪問看護

 
■訪問看護ステーション 東光ぬくもりポート
〒078-8341 旭川市東光1条1丁目
TEL : 0166-34-2917
■訪問看護ステーション 宗谷さわやかポート
〒097-0001 稚内市末広3丁目
TEL : 0162-24-2223
 

みんなの医療講座

  • HOME  > 
  • みんなの医療講座
   

  道北勤医協では毎月、医療知識や医療・福祉制度の知識、暮らしに役立つ情報が掲載された機関紙「道北の医療」を発行しています。

 

 ここではその中よりシリーズとして掲載している「みんなの医療講座」を公開いたします。

 

 道北勤医協の医師や医療従事者が毎月交代で、生活に役立つ知識を公開しています。

   
NEW
                                                             
   
介護保険での訪問リハビリテーションについて
介護保険での訪問リハビリテーションについて
 
一条通病院                           
リハビリテーション部副技士長
福野 智将
 
 
 訪問リハビリテーション(以下、訪問リハ)という言葉を聞いたことがありますか?
 知らない方も多いと思いますので、今回は介護保険を利用した訪問リハの概要を説明します。
 
【こんなときに相談】
 
  • リハビリを受けたいが通院は難しい方。
  • 自宅でのリハビリを行う際に自分の知識・方法だけでは不安な方。
  • 介助の方法を指導してほしいときなど…。
リハビリ技士が援助致します
 
【利用対象者】
 
①65歳以上で要介護認定を受けている方。
②40〜64歳で特定疾患(※1)により介護認定を受けている方。
① ②のいずれも主治医から「訪問リハが必要」と認められていることが条件です。
担当ケアマネジャーがいる方は、相談をしてください。
 
 
【内  容】
 
 訪問リハは介護保険では1週間6単位(1単位:20分)までと定められており、その中で患者さん自身が日常生活動作を通して身体機能の維持・向上を図るための効果的な自主練習方法を指導の能力の獲得を目指します。
 また、ケアマネージャーなど多職種との情報共有やヘルパーへの介護方法の指導を行い、在宅生活をより安定して過ごすための支援行います。
具体的には以下の内容です。
  • 病状観察(呼吸、血圧等のバイタルチェック)や、精神面の健康状態の確認を行います。
  • 身体機能のリハビリにて筋力をつける運動や、関節の硬化を防ぐ運動を行います。
  • 日常生活における食事、移動(写真1)、トイレ、入浴(写真2)等を自分で出来るように支援するとともに、介護者の介護負担軽減に向けての支援を行います。
  • 必要に応じて、福祉用具(歩行補助具、車椅子等)、環境改善(手すり設置、段差解消等)の提案をしていきます。
  • 調理、掃除、洗濯等の家事動作練習を行い、家庭内での役割を増やしていくことで生活の充実を図る支援を行います。その中で生きがいや、やりがいを一緒に考えながら、生活の質の向上を目指します。
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/496/201708040947498190.JPG
 
【連 携】
 
  1. 在宅生活に向け様々な課題がある中で、退院・退所元とも連携しながら本人・家族・関係者と話し合い、課題に優先順位を付けて支援を行います。
  2. 在宅生活を支えるために関係者で作られる支援チーム間で情報共有を図り、適切な支援につなげます。
  3. 在宅生活中の体調不良や生活機能低下などによる再入院、再入所に対応する医療機関や介護施設などとも連携して支援します。
 
【10月から一条通病院で訪問リハ開始】

 今年10月から一条通病院の退院患者さんを対象に訪問リハを開始します。
 開始にあたり、訪問リハ開始時期が退院後2週間以内と2週間以降では、日常生活動作向上に差が出現しているため(下グラフ参照)、退院後の早期介入を進め、患者さんの回復を支援します。
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/495/201708040945565589.JPG
 

(※1)特定疾患
国が定めた老化に起因して発症した16疾患。末期がん、若年性認知症、脳血管疾患等が対象とされている。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ダニによる感染症について
 
ダニによる感染症について


一条通病院副院長
 
田中 琢
 
 
 これからの季節、野山にハイキング・キャンプ・登山等におでかけになる方も増えてくると思います。これらのアウトドア活動は健康増進の点からも好ましいものですが、一方で夏から秋にかけてはダニや蚊などの活動が活発になる時期でもあります。今回は場合によっては致命的ともなる、ダニによる感染症についてお話ししたいと思います。
 
 ダニ類が媒介する主な感染症にはライム病、回帰熱、ダニ媒介脳炎、日本紅斑熱、ツツガムシ病、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)等があります。このうち、北海道に関係する前3者について説明したいと思います。
 
 道内で以前より知らてていたものはマダニに咬まれた後に発症するライム病で、ダニの体内にいたボレリア・ブルグドルフェリという細菌の一種が原因となります。まず咬まれた後、数日〜数週間で噛まれた部位を中心に紅斑(皮膚の赤味、写真1)が現れます。リンパ節の腫れや、筋肉痛、関節痛、頭痛、発熱、悪寒、倦怠感などのインフルエンザ似の症状を伴うこともあります。体調の悪さと疲労感は数週間続くので、紅斑が出ない場合は特にインフルエンザやかぜと間違えられることもあります。その後進行すると神経症状(髄膜炎、脊髄神経根炎、末梢性顔面神経麻痺)、心筋炎、関節炎、筋肉炎、不整脈が現れることもあります。抗生物質が有効ですので、ダニに咬まれた後にこのような症状が現れた方は医療機関を受診して下さい。
 
 また、最近知られてきたものとして、数は少ないもののボレリア・ミヤモトイによる回帰熱や、ウイルスによるダニ媒介脳炎に感染する可能性もあります。2016年には40歳台の男性が北海道で、ダニ媒介脳炎に感染して死亡しています。
 
 これらのダニ媒介性感染症にかからないための対策は、ダニに咬まれないようにすることが第一です。草むらや藪など、マダニが多く生息する場所に入る場合には、長袖・長ズボン(シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れる、または登山用スパッツを着用する)、足を完全に覆う靴(サンダル等は避ける)、帽子、手袋を着用し、首にタオルを巻く等、肌の露出を少なくすることが大事です。
 
 マダニ類の多くは、ヒトや動物に取り付くと、皮膚にしっかりと口器を突き刺し、長時間(数日から、長いものは10日間以上)吸血しますが、咬まれたことに気がつかない場合も多いと言われています。吸血中のマダニに気が付いた際、無理に引き抜こうとするとマダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、マダニの体液を逆流させてしまったりするおそれがあるので、医療機関で処置(マダニの除去、洗浄など)をしてもらってください。また、マダニに咬まれた後、数週間程度は体調の変化に注意をし、発熱等の症状が認められた場合は医療機関で診察を受けて下さい。
 
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/459/201706271425531859.JPG http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/460/201706271426502842.JPG
 
 
大腸CT検査について
大腸CT検査について
 
一条通病院   
放射線科技師

峯岸幸太郎
 
新たな大腸の検査を開始
 
 大腸がんによる死亡率減少のためには早期発見、早期治療が重要です。「内視鏡検査は苦痛だ」「カメラの挿入に羞恥心がある」といったマイナスイメージが検査の受診率を低迷させているということから、苦痛が少ない低侵襲な検査である大腸CTが今注目されています。一条通病院では昨年10月より検査を開始しています。
 大腸CT検査は肛門から炭酸ガスを注入し大腸を拡張させ、CT装置で撮影する検査法です。この撮影により得られた大腸の3次元画像や通常のCT画像をもとに、大腸がんや大腸ポリープを見つけることができます。他の大腸検査法と比較して、苦痛がなく短時間で大腸を検査する事が可能です。便潜血検査陽性や腫瘍マーカー上昇など、他検査により大腸悪性腫瘍が疑われる方が検査対象となります。

どんな前処置をするの?
 
 検査前日から検査食を食べて頂き、3食後ごとにお水と少量の造影剤(大腸CT用バリウム)を飲んでいただきます。さらに、就寝前に液状の下剤、当日朝食後に粉状の下剤を服用していただきます。

検査の流れは?
 
 検査着に着替え、CT装置の寝台に横になります。肛門から直径約5㎜のチューブを5㎝ほど挿入し、抜けないように固定します。次にチューブの先端から炭酸ガスを送気していきます。一定の圧で注入されるよう装置で調整していますので、設定圧を超えて注入されることはありません。腸の長さにより個人差がありますが、全量でおよそ1・5~3リットル入ります。撮影は息を吐いてから15秒程度止めた状態で行います。より正確な診断をするために、あお向けとうつ伏せの2体位で撮影をします。検査開始から終了まで15分~20分程度です。大腸の炭酸ガスは空気の130~150倍体内への吸収が早いといわれており、10分程度でお腹は楽になります。


大腸カメラと比べてメリットは?

  • 大腸カメラの前処置のように大量の下剤の飲用はありません。
  • 撮影時間が短く、拘束時間は長くとも20分程度です。
  • 他の大腸検査に比べると、前処置や検査の負担が少なくすみます。そのため、高齢者や過去に大腸内視鏡の挿入が困難であった方でも検査が容易です。
  • 3次元的に大腸を観察できるため、大腸全体像や病変の形状を正確に把握可能です。
  • 他の大腸検査で問題となる大腸穿孔や出血などの合併症は極めて稀です。
  • CTで腹部を撮影するため、大腸以外の臓器情報の把握も可能です。

デメリットは?


  • 体外からの撮影であるため、病変の色や固さの情報は得られません。
  • 組織の採取ができないため、異常が検出された場合は大腸内視鏡を受けることが必要です。
  • 医療被ばくがあるため、妊娠の可能性がある方は検査を受けることができません。
  • 平坦な病変や5㎜以下のポリープ様病変の抽出精度は大腸内視鏡に比べて劣ります。

大腸がん検診とセットで
 
 冒頭で述べたように、大腸がんは早期発見、早期治療が大変重要です。早期発見には手軽に検査が可能な大腸がん検診が有効です。ぜひこの検診を利用し、陽性反応が出た場合の選択肢としてこの大腸CT検査をご検討ください。
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/439/201706050951178040.JPG http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/440/201706050952594359.JPG
 
 
 
 
救急蘇生法とAED
救急蘇生法とAED
 
一条通病院
麻酔科医師

 溝口 弘美
 
今回は「救急蘇生法」についてご紹介したいと思います。

  救急蘇生法というとき、すぐに心臓マッサージを思い浮かべるのではないかと思いますが、心臓マッサージや人工呼吸は、厳密には「心肺蘇生法」と呼ばれています。
 
 そして「救急蘇生法」には、この「心肺蘇生法」の他に、「気道異物(のどに物を詰まらせること)除去法」も含みます。
 
 意識消失や呼吸停止が起きたときに脳への酸素供給が途絶えると、1分ごとに救命率が10%弱の割合で下がっていくので、その場にいる人がまず心肺蘇生を開始できることで救命率が上がります。そこで一般市民向けに、救急蘇生や心臓マッサージについての講座がさまざまな所で行われるようになってきています。
 また最近は、AED(自動体外式除細動器=電気ショック装置)の配備が公共施設に行き渡ってきたので、2015年の「一次救命処置手順」の改訂においても、早期にAEDを使うことが推奨されるようになりました。
 これを受けて、日本医師会でも市民の方々が緊急時に慌てず対処できるように、スマホなどでも見やすく、わかりやすいウェブサイトを設けているのでご紹介します。
日本医師会救急蘇生
http://www.med.or.jp/99/

救急蘇生の基本手順医師会ポスター
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/368/201705091016259054.JPG
http://www.med.or.jp/99/99poster_2016.pdf
 
救急蘇生の基本手順
  1. まず反応の確認軽くたたいたり、大声で呼びかけて何らかの応答があるか
  2. 反応がないときは、まず119番通報救急隊の方から現在場所と倒れている人の状態を聴かれますので焦らず伝えてください。周囲に人が居れば、手分けして、119 番通報してもらいつつ、3を行います。一人しか居ないときは、119番通報してから、3へ
  3. 呼吸の確認
  4. 呼吸がない時、または異常な呼吸をしている時は心臓マッサージ開始
  5. AED装着 AEDには心拍の検出機能がありますので、心停止確認のためにも近くにAEDがあれば準備して装着しましょう。AED装置の蓋を開いて、電源を入れると自動的にアナウンスが始まりますので、よく聴いて指示に従ってください。
 

小児の救急蘇生

小児の場合についても、前記の医師会サイト内に以下のページがあります。
子どもの一次救命処置
http://www.med.or.jp/99/kids.html
 緊急時の確認手順は小児でもほぼ同じですが、心臓マッサージでは体格の違いがあるので力が入りすぎないように、1歳未満では「指で」押す、乳児から児童では「片腕で」、大人と同じ体格があれば「両手を重ねて」となります。
AED装着も同じです。小児用のパッドが入っていれば、そちらを使用しますが、入っていなければ成人と同様の使用でかまわないとされています。2つのパッドがくっつかないようにだけ注意しましょう。

AEDの使用

AEDの使用方法については、日本救急医学会のサイトにわかりやすい説明があります。

日本救急医学会AEDとは
http://aed.jaam.jp/about_aed.html

AEDの設置を示すAEDマーク(左図参照)を提示しますので、よく行くところではどこにあるのか一度確認してみましょう。
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/369/201705091023448762.JPG
AEDマーク
 
喉に物が詰まったときは

  最後に、喉に物を詰まらせているときについても、前記の医師会サイト内に以下のページがあります。

気道異物除去の手順
http://www.med.or.jp/99/kido.html


気道異物除去の手順の基本
  1. 「親指と人差し指で喉を掴む仕草」の窒息のサインをその周囲の人が早くみつけて対処することが救命の要となります。
  2. 発見時すでに反応がなくなっていれば、119番通報した上で、すでに述べた心肺蘇生を開始することになります。
  3. まだ、苦しそうにする反応があれば、「気道異物除去法」を行います。
 
 小児や妊婦ならば「背中から叩く」のみ、妊婦以外の成人ならば「背後から抱えて両手を腹部で握って腹部を突き上げる」、「背中から叩く」を両方試みます。それでも効果が無く意識を失ったり反応がなくなったら、119番通報した上で、心肺蘇生を開始することになります。
 
 急変した人が一人でも多く助かるように、一次救命処置について皆様に知っていただければと思います。
 
 
 
 
 
 
 
 
目薬について 
目薬について
 
一条通病院主任薬剤師
高橋 陽子


 あなたはいつも、どのように目薬をさしていますか?
正しいさし方を理解していただくと、目薬の効果が十分に発揮されて、目薬を清潔に保つこともできます。一方、誤った点眼方法を続けると、次のような事が起こる可能性があります。
● 目薬の効果が十分に発揮されない
●目薬が汚染されるさし方チェック
 

① 容器の先が目やまつげについていませんか?
 
 容器の先を目に近づけすぎると、まぶたやまつ毛などと接触し、容器に涙や細菌、花粉、目やになどが付着し、目薬の汚染につながります。

② 目薬をさした後、目をパチパチしていませんか?
 
 目薬をさした後、目をパチパチさせると目薬が目の表面全体にいき渡るように思いがちですが、
そうではありません。せっかくさした目薬が涙と一緒に目頭の方に集まって、涙点(るいてん)から喉の方へ流れ出てしまいます(図1)。目薬が涙点から流れ出ていかないように、しばらく(1分程度)まぶたを閉じるか、目頭を軽く押さえます。

③回数や滴数を守っていますか?
 
 まぶたの中に貯めておける薬の量には限りがあり、たくさん目薬をさしてもあふれ出たり、涙点から喉の方へ流れ出ていくだけです。目薬に添付されている説明書の用法・用量に記載されている滴数を守りましょう。特に医師からの指示がなければ、目薬は1滴で目に染み渡るように作られているので1滴で十分です。あふれた目薬で目の周りがただれる事も
あります。

Q&A
Q )目薬を2種類以上、同時にさす時の間隔は?
A)2種類以上の目薬をさす場合はしばら
く(5分程度)間隔をあけます(図2)。間隔をあけないと先にさした目薬が後にさす目薬によって流されてしまうので、効果が減弱します。

Q )目薬が2種類以上ある時のさす順番は?
A )①最も効果を期待する重要な点眼薬は最後に点眼。
② 懸濁性点眼薬(よく振ってから使う目薬)は、水に溶けにくく吸収されにくいので後から点眼。
③ 油性点眼液と眼軟膏は、水性点眼液をはじくので後に点眼・点入。
④ 点眼後にゲル化する点眼液はうすい膜が形成されるので、他の点眼液を点眼して10分の間隔をあけて最後に点眼。
⑤ 臨床経験によって効果が高いことがわかっている場合はその順序で点眼。
※ 医師の指示がある場合は、従いましょう。

Q )目薬の使用期限はどのくらい?
A )未開封の場合、高温や直射日光を避けて常温保存(冷所の指示あれば冷所で)していれば、外箱や容器に記載されている期限内です。但し、一度開封した目薬の場合は、キャップを固く閉めて、涼しい場所に保管し、速やかに使用してください。処方された目薬なら開封後長くて1カ月、薬によっては1週間と短いものもあります。市販の目薬は3カ月を過ぎたら処分することをお勧めします。古い目薬を使うと、変質した薬液で目の表面に傷をつける恐れがあります。

参考文献 :参天 正しい目薬のさし方

 
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/317/201703311346451413.JPGhttp://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/318/201703311347362739.JPG  
 
 
慢性疾患の定期検査
 
慢性疾患の定期検査
 
一条クリニック院長
仲谷  了
 
 高血圧症や糖尿病、脂質異常症といった慢性疾患をお持ちの方で、医師や看護師に定期検査を受けるように言われた方はいませんか。
 
  血圧は毎回測っているのに、血糖も毎回検査しているのに、今さら定期検査?あるいは毎年職場の健康診断を受けているのでわざわざ受けなくてもいいでしょ?とお考えになるかもしれません。

合併症を予防して健康で元気に生活 
 
   そもそも高血圧症や糖尿病、脂質異常症の治療は何のために行っているのでしょう。血圧を下げるため、血糖を下げるため、コレステロールを下げるため。その目的はその先にあるのです。病気によって引き起こされる合併症を予防して健康で元気に生活する、すなわち健康寿命を延ばすことが目的です。
 
  高血圧症の合併症は、脳出血や脳梗塞などの脳血管疾患、狭心症や心筋梗塞、うっ血性心不全、腎硬化症から慢性腎不全などがあげられます。
 
  糖尿病の合併症は網膜症、腎症、神経障害といった糖尿病に特有な三大合併症や心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)などの動脈硬化性疾患があり、それぞれ失明や尿毒症による人工透析、下肢切断、半身不随などの原因となりうるものです


合併症の早期発見に重要な定期検査 
 
   それらの合併症にならないように、またなってもそれ以上進行させないために血圧や血糖をコントロールするのですが、合併症を早期発見して早期に対応することはとても大切なことです。これらの合併症は症状がないまま進行してしまうことが多いため定期的な検査が必要です。
 
  胸部レントゲンや心電図は年単位で徐々に変化することがありますし、症状が出た時に以前のレントゲンフィルムの陰影や心電図の波形と比較することが診断上の決め手となることもあります。また、蛋白尿や腎機能なども早期に発見して薬を調整するなどの対策で、腎不全への進行を遅らせることも可能です。
 
  一方、これらの慢性疾患は相互に関連することが多く、糖尿病と高血圧症、脂質異常症を同時に持つ人は少なくありません。複数の病気を持つ人は合併症の発症・進展の確率がさらに高くなります。ですからたとえば高血圧症では、腎臓の検査や心臓の検査だけではなく、血糖やコレステロールも定期的に測定していくことが必要です。
 
  ところで、職場の健康診断を受けているから、あるいは特定健診を受けているからといって安心されている方もおられますが、これらの健診は基本的に高血圧症や糖尿病などの早期発見のための検査です。そのため検査項目も絞られていますし、症状が起こった時の比較はもちろん経年的な比較もできません。さらに、薬を使っているときの副作用の確認などもできません。
 
  慢性疾患をしっかり管理治療していくためには定期的に通院している医療機関で病気に対応する定期検査が必要です。
 
  なお、病気や病状の進行程度によって、定期検査の頻度は異なります。合併症のない高血圧症では年に1〜2回程度、脂質異常症では3〜4カ月に1回程度は必要でしょう。

定期検査を忘れずに受けましょう

   わたしたち医療側も気を付けてみていきますが、しばらく定期検査を受けられていないことに気付かれたら患者さんの方から私たちに声をかけていただきたいと思います。
 
 
 
あなたの体を守る食事と栄養素のお話
あなたの体を守る食事と栄養素のお話
 
一条通病院管理栄養士
髙島 理恵
 
 寒さの厳しい日が続き、風邪や肺炎・インフルエンザの流行のニュースを目にする機会も増えています。書籍やメディアでは様々な健康法がうたわれていますが、今回は体を作る栄養素の基本と病気を予防する免疫力を高める方法についてご紹介します。

体を作る栄養素とは

栄養素は私達の体の中でそれぞれ異なる活躍をします。体内での働きを大きく分けると五つになります(下左図参照)。

この五つの栄養素を一食・一日の食事の中で組み合わせることで体は正常に機能します。

みなさんは日々、心掛けてとっている食材や飲料はありますか?含まれる栄養素や量はそれぞれ異なりますが、まずはこれらを含む食材が一食の中でそろうよう意識を持つことから始めるのも健康維持への第一歩です。

病気の予防と免疫力

免疫力は細菌やウイルスなどの外敵から体を守る「健康防衛力」です。病気にかかりにくい体にするためにはこのパワーが必須です。免疫力を高めるためにはどのような食事が必要なのでしょうか?(下右図参照) 

免疫力を高める食事の鉄則は食事全体の栄養バランスにあります。ひとつの食材だけたくさん食べても、免疫力は高まりません。その土台として前項で紹介した五大栄養素の揃った食事が必要となります。基本の組合せ+免疫力をアップさせる工夫で病気に負けない体づくりをしましょう。

個々に疾患に合わせた食事内容のご相談は個別栄養指導にて承ります。受診時、主治医へご相談ください。
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/298/201703080922436656.JPG http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/299/20170308092332442.JPG

◇参考資料
農林水産省ホームページ
あたらしい栄養学(高橋書店
 
 
TSH(ティーエスエイチ) ってなあに?
TSH(ティーエスエイチ)

ってなあに?
 

ながやま医院院長 中川 直子


 TSHとは、決して東京ステーションホテルのCMではありません。ちょっと素敵なホルモンの話です。

甲状腺ホルモンの役割は?
 
  まずは甲状腺の働きからお話しします。
甲状腺は首の一番下のど真ん中に蝶々のような形で気管に張り付いています。甲状腺から甲状腺ホルモンがでるのですが、①体を活発にする、②発育成長に欠かせない、ホルモンです。体のどの部分でできるホルモンも同じですが、出すぎても少なすぎても症状が出て困ります。何でもほどほどが肝心ですね。

甲状腺ホルモンとTSHの関係は?
 
   ちょっと甲状腺ホルモンの出方が弱まると、皮膚がカサカサしたり、むくんだり、寒がりになったり、髪の毛が抜けたり、倦怠感が出たり、元気が出なくなったりします。
   ホルモンの出方を元に戻そうと脳から指令を出し、ホルモンバランスを整えるためにTSHがいっぱい出てきます。
  そうです!それが甲状腺刺激ホルモン、略してTSHです。

TSHはどういう時に調べるの?
 
   ホルモンは一生懸命に体内調節してバランスをとろうとするため、症状がはっきりしないこともありますので、「最近もの忘れするなぁ」「元気が出ないなぁ」と訴える人には「もしや甲状腺ホルモンに原因が?」と考え、TSHを血液で調べています。
   血液で簡単に測れる検査ですが、残念ながら一般的な健康診断の項目には含まれていません。前述のような体調で血液検査を受けられたら、検査項目にTSHがあるか見て下さいね。

参考文献 内科学(朝倉書店) 甲状腺の病気 伊藤公一(法研)
 
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/241/201612270945156010.JPG
 
 
気づかないうちに進んでいる かもしれない「動脈硬化」
気づかないうちに進んでいる

かもしれない「動脈硬化」

あなたの血管年齢は何歳?
 
種本 美香
 
一条通病院 検査科
主任検査技師

 

新たな「動脈硬化」の検査を開始
 
 一条通病院では11月1日より新たな動脈硬化の検査として、血圧脈波検査「ABI/CAVI」(エービーアイ/キャビ)検査をはじめました。
これまでは「ABI/PWV」検査という動脈硬化の検査を行っていましたが、測定原理上どうしても血圧の影響を受けやすいのが難点でした。
「ABI/CAVI」検査の方法はベッドに仰向けに寝て、両腕と両足首の脈波・血圧を測定します。検査時間は約5分です。食事の制限もありません。
「CAVI」は従来の測定方法を基にして算出された数値で、血圧に依存しない動脈硬化の新しい指標として世界各地で研究が進められています。

血管の硬さやつまり、気になりませんか?

動脈硬化とは、その通り「血管が硬くなった状態」のことです。
硬くなった血管はしなやかさが失われ、内側がもろくなりコレステロールが溜まって中が狭くなったり、つまったりします。古い水道管が汚れてつまったり、さびてはがれるのと同じ状態です。

「動脈硬化」は死因の3割に関連
 
 日本人の死因の3割は脳梗塞や心筋梗塞など、動脈硬化が原因の疾患です。これはガンにも匹敵する数字です。「動脈硬化なんてよく聞くし、たいしたことはない」と思われがちですが、実はとても怖いのです。
足のしびれや痛み、ありませんか?その痛みは動脈硬化が原因かもしれません。

「動脈硬化」の進行の抑制と予防方法
 
 それでは動脈硬化の進行を抑えたり、予防するにはどうすればよいでしょう。
生活習慣病をお持ちの場合は持病の治療が必要です。適度な運動をしたり、食べすぎに注意したバランスの良い食事をとることも大切です。合併症予防のため薬物による治療が必要な場合もあります。
まずは主治医とよく相談することが大事です。

いつまでも健康で自分らしく暮らすために
 
 日本人の平均寿命は男女共に80歳を超えました。それに伴い、近年ますます予防医学が注目されるようになって来ています。「いつまでも楽しく健康で自分らしく」いられるように、病気になってから治すのではなく、早期に発見し改善、予防して病気になりにくい健康な体づくりをめざしませんか?
「検査を受けてみたい」と思われましたら、職員までお気軽にご相談ください。

◎検査料金は1割負担で100円、3割負担で300円です。これ以外に診察料などがかかります。予約は不要です。受診の際に医師とご相談ください。
 
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/216/201612141556226355.JPG http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/215/201612141543197367.JPG
 
 
 
「介護予防」について  ~自分らしい生活を続けるために~
「介護予防」について

~自分らしい生活を続けるために~


山森 英司

一条通病院
リハビリテーション科
理学療法士

 
高齢化が進行
 
 皆さんは北海道の高齢化率がどれくらいか知っていますか?
 高齢化率とは住民100人の中に65歳以上の方が何人いるかという数字です。平成28年1月1日現在で日本の高齢化率は26・6%、北海道では28・9%と約3人に1人が高齢者ということになります。ちなみに稚内市は29・3%、旭川市は30・5%で高齢化率が進んでいる街です。
  内閣府発表の平成28年度高齢社会白書では、高齢化の要因は死亡率低下による65歳以上人口増加と、少子化の進行による若年人口減少が挙げられています。この傾向は今後も続くと推測されており、高齢化の進行は避けられない状況です。

健康寿命とは
 
 日本人の平均年齢についてみても男性80・5歳、女性86・8歳と年々上昇傾向となっています。その中で、最近よく耳にするのは「健康寿命」という言葉です。健康寿命とは、健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間のことです。平均寿命と健康寿命の間には、男性で約9年、女性で約13年の差があるといわれています。つまり、なんらかの介護を必要とする期間が10年前後存在するということです。

運動器障害とロコモ
 
 要支援・要介護状態の最大の原因は、関節の痛みや転倒による骨折など「運動器(※1)の障害」で5人に1人いると言われています。今までの人間社会において、これほど長期間にわたり運動器を使用し続けた時代はなく、治療を受ける必要がある運動器障害が増加しています。これは長寿に運動器の健康が追いついていないということです。
 その中で最近「ロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)」という概念が提唱されてきています。ロコモとは運動器の障害のために、日常生活に必要な「体を動かす能力」が低下し、生活の自立度が下がる状態のことをいいます。現在、ロコモ予備軍も含めて4700万人いるといわれています。

ロコモ予防が重要
 
 当院では友の会を中心とした介護予防教室にて、「ロコモ度テスト」を実施しています。内容は、下肢筋力を調べる「立ち上がりテスト」や歩幅を調べる「2ステップテスト」、身体の状態や生活状況を調べる「ロコモ度25」を実施・判定し、ロコモを予防するトレーニングを行っています。ロコモは、直接命にかかわるものではありませんが、介護を必要とせず自立した生活ができる「健康寿命」を延ばすためにも、日頃から注意して予防を心がける必要があります。また、「歳だから」とあきらめないことも重要です。

最後に
 
 上手に運動器を使い、長持ちさせることが介護予防となります。「自分らしい生活」を守り続けましょう。


※1 運動器骨=関節・筋肉・神経などの身体を支えたり動かしたりする組織・器官の総称
 
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/213/201612141541443316.JPG http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/214/201612141542304347.JPG
 
 
 
 
 
B型肝炎ワクチンが定期接種に ~水平感染予防のために
B型肝炎ワクチンが定期接種に
 
~水平感染予防のために
 
一条通病院小児科 高橋 幸枝
日本小児科学会専門医 
日本アレルギー学会会員
( 道北の医療2016年10月号掲載記事)
 今年(2016)10月1日より、B型肝炎の予防接種が定期接種になります。
1992年、WHOでは全世界の国々がすべての出生児にB型肝炎ワクチンを推奨、勧告を出していましたが、今まで先進国の中で日本だけが定期接種になっていませんでした。
WHOの統計では持続感染者(体内にウイルスを保有している人=キャリア)は全世界で3・5億人と推計されており、日本では100〜130万人と推定されています。
このウイルスは強い感染力をもち、日常生活でも容易に感染する可能性があります。感染者の一部は慢性肝炎、肝硬変、肝癌へと進行し死亡するという経過をたどる危険性があります。
このような一生涯にわたるリスクから身を守るためにワクチンを受けるようにしましょう。
 
⑴定期接種
下表をご参照下さい。
 
接種要項
〇接種対象者
1歳未満の乳児。
但し、平成28年4月1日以降の出生児。
〇接種回数及び方法
27日以上の間隔で2回、更に初回接種から139日以上経過した後に1回、合計3回。
※推奨されるスケジュール
生後2、3、7~8か月。
キャリアの同居者がいれば出生直後からでも可。
〇他のワクチンとの接種間隔
生ワクチンを先に受けた場合27日以上、不活化ワクチンを先に受けた場合6日以上。
肝炎ワクチンを受けたあとは6日以上あければ他のワクチンを受けられる。
※注意点
1歳を過ぎると対象外となり、有料となります。同時接種が可能なので、効率よく進めましょう。特に4月生まれの赤ちゃんは早めに開始して下さい。
〇予防接種医療機関であればどこでも受けられますが、できるだけかかりつけ医で受けましょう。
〇予診票は実施医療機関に設置。
 
⑵定期外の接種
①母子感染防止事業=垂直感染防止
1986年から実施されています。
妊婦さんがウイルス保有者の場合、出産時に血液を介してほとんどの赤ちゃんが感染し、9割は持続感染者となります。それを防止するために、出生後早期に抗HBsヒト免疫グロブリンの注射とワクチンを接種することになっています。お母さん自身も定期に健診を受けておきましょう。自覚症状はほとんどありません。

② 任意接種=水平感染の拡大防止のために
3歳未満の乳幼児期の感染は高率にキャリアになりやすいことが分かっています。母子感染=垂直感染は著減しましたが、新たに日常生活での感染=水平感染が問題となっています。血液以外の体液、唾液、汗、涙などからの感染経路が推定されている事例もあります。
㋐ 父、祖父母からの家庭内感染。
父がキャリアだと約25%に感染が見られ、約10%がキャリアになると言われています。
㋑ 保育園など集団施設内での感染。
㋒ 身体接触の多いスポーツ選手(相撲、ボクシング、レスリングなど)。
㋓ 性交渉による感染、若年者に増加。
㋔ ピアス、イレズミ、薬物注射器の使いまわしなど。
感染のリスクの高い人達は成人でもワクチンを受けることが可能です。乳幼児は成人よりもワクチンの効果が高いとされています。思春期世代の予防も大切です。
今後、定期接種の効果が期待されるところですが、対象外であっても自分の身を守り、かつ新たな感染源とならないために予防をしておきたいものです。
 
蚊が運んでくる病気 
蚊が運んでくる病気 
 
杉森真由美           
一条通病院 小児科医長
( 道北の医療2016年9月号掲載記事)
【①日本脳炎】
 日本脳炎ウイルスが脳に侵入して起きる死亡率の高い脳炎です。生存しても重い後遺症を残します。
このウイルスはブタの体内では無症状のまま増えていき、ブタを吸血した蚊がヒトを刺すことによってヒトにウイルスが入ります。ほとんどのヒトはこのウイルスに対する抗体を作ることができるため自然治癒しますが、300人に一人は脳炎を起こしてしまいます。
 このウイルスは熱帯亜熱帯のアジア地域に広く常在しており、日本では西日本中心に感染が確認されています。北海道は昨年まで感染の危険がない区域とされ、ワクチンを接種していませんでした。しかし感染の報告が北上してきており、道内においても感染の可能性があること、道外、海外へ行き来する機会が増えていることにより、今年からワクチン開始になりました。
 ヒトからヒトへの感染はありませんが、有効な治療方法がありませんので、予防のためにワクチンを接種することが必要です。3歳になったら接種するのが一般的ですが、感染の危険の高い地域に居住する小児は生後6ヶ月からの接種が推奨されます。
 

 
【2・デング熱】
 2014年、代々木公園に端を発したデング熱の国内発生は記憶に新しいと思います。この病気は赤道付近と南半球の熱帯地域に多いため、今までは海外渡航歴がなければ顧みられない病気でした。
 デングウイルスを持っている蚊に刺されて五〜七日後に突然の高熱、激しい頭痛、筋骨格痛、発疹を特徴とする病気です。流行地域の住民、特に小児に繰り返し感染が起きると重症化します。治療方法やワクチンはありません。
 

 
【3.ジカ熱】
 昨年5月以降、中南米を中心に広がっている病気で、リオオリンピックのため話題になっています。ジカウイルスを持っている蚊に刺されて起きる病気です。日本に常在している蚊もこのウイルスを運んできます。
感染しても八割のヒトはほとんど症状が出ないか軽症のため自分が罹ったことに気づきません。デング熱に似た症状ですが軽く、2〜7日で自然回復します。
しかし妊娠中の女性に感染すると小頭症の子供が高率に生まれることがわかりました。妊婦、妊娠の可能性のある女性は流行地域に行かないようにしましょう。
このウイルスは、性感染症としてヒトからヒトへの感染を起こします。ジカウイルス感染後2〜10週たっても精液からウイルスが分離されます。流行地域を旅行してきたパートナーとの性交渉を控えるべきです。治療方法やワクチンはありません。
 

 
【蚊に刺されないために】
 虫よけとして効果が認められている成分はディートとイカリジンがあります。ディートは肌に塗る製品に含まれています。乳幼児に使うときは手のひら、顔(特に目、口)を避け、大人の手のひらで薄くのばして塗ってください。日焼け止めと併用する時は、先に日焼け止めを塗ってその上に虫よけを塗ってください。イカリジンはドイツで開発され、赤ちゃんから大人まで使えると言われているスプレー剤です。高濃度に配合した製品は注意が必要です。
 いずれも忌避剤であって蚊は死にません。時間とともに効果が薄れていきます。子供の使用には使用回数、使用方法に制限がありますので製品の説明文書をよく読んでください。
 
食物アレルギーの経皮感作について
食物アレルギーの経皮感作について
 
久保田知樹              
条通病院小児科            
日本小児科学会専門医      
日本アレルギー学会専門医
( 道北の医療2016年8月号掲載記事)
 
 アレルギーの原因となる物質(タンパク)を抗原(アレルゲン)といいますが、このアレルゲンが食物である場合は食べて腸管から吸収される過程で感作(生体側が免疫反応を起こしてアレルギーが発症すること)が成立するというのが一般的に考えられていました。
 しかし最近は、食物抗原が皮膚に付着することで皮膚から食物タンパクが吸収されて感作が成立し、その後に食べることでもアレルギー反応が出るようになるという現象が注目されています。アレルギー体質がある人や、皮膚が湿疹のためにバリア機能が弱くなっている場合にこのアレルギーのリスクが高まります。具体的に私が経験した例では…
 
□1歳児が初めて食べたイクラでアナフィラキシー(※)を起こした。
  (実は家族が魚卵好きで、お兄ちゃんがイクラを食べた後のべたべたの手のまま弟くんを触っており,そのたびに少しずつ皮膚が赤くなるエピソードがあった)
□こどもが初めて食べたピーナッツ製品でアナフィラキシーを起こした。…
  (実はお父さんが赤ちゃんを前にして、毎朝ピーナッツバターをトーストにつけて食べる習慣があっ た)
□20歳の女性がそれまで摂取していた小麦で運動時にアナフィラキシーを起こすようになった。…
  実は彼女はピザ屋さんでピザのパン生地を素手でこねるバイトを一定期間していた)などなど
 
 イメージできたでしょうか。
 
  欧米の論文では小児のピーナッツアレルギーは本人のピーナッツの摂取量よりも、家族内のピーナッツの総摂取量との相関が強く認められたということが報告されています。ですから、アレルギーの発症機転でこの皮膚への付着が最初にあって、その後の経口摂取によるアレルギー発症につながっていくものがかなり多そうだということです。それを裏付ける新生児を対象とした国内の研究では、生後32週まで皮膚トラブルがなくても毎日1回保湿剤をしっかり塗ってスキンケアする群と、乾燥が気になる部分のみに母の判断に任せて塗る群に分け、その後のアレルギー発症について比較し、皮膚トラブルがないようにみえても毎日保湿剤を1回塗った群の方がそうでない群に比べ、その後のアトピー性皮膚炎の発症が3割減ったこと、アトピーが発症した群では発症しなかった群に比べて有意に卵白のアレルギーの数値が高かったことが報告されています。つまり湿疹などでバリア機能が低下して荒れた皮膚からはアレルゲンが侵入しやすいのです。
 
  最近では成人発症の食物アレルギーで、女性の使用する化粧品・洗顔石鹸などに含有された食物成分を原因とした例、鮮魚を扱う職業の魚アレルギーの例なども多数報告されています。
   大切なのは荒れた皮膚を放っておかないこと。特に子供には冬は乾燥対策、夏は汗・汚れ対策というように、季節の皮膚の状態に応じて先回りした細かなスキンケア対策をすることをおすすめします。

(※)アナフィラキシー発症後、
極めて短い時間のうちに全身性にアレルギー症状が出る反応
 
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/212/201612141541243326.JPG
 
 
ヘリコバクター・ピロリ菌について
ヘリコバクター・ピロリ菌について
 
野中敏行
一条通病院
検査技師
( 道北の医療2016年7月号掲載記事)
 私たちの一番身近に感じる内臓の一つに胃腸があります。この胃腸は胃液の中に含まれる塩酸で強い酸性になっていて、侵入してくる細菌をほとんど殺しています。
 
 しかし、最近この胃腸の中に死なずに常駐することができる菌が見つかりました。しかも「悪さ」をします。名前を「ヘリコバクター・ピロリ」といいます。
 
 この細菌は胃粘膜に感染して慢性胃炎を起こします。更にこの胃炎が基になる、萎縮性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃癌など様々な疾患の併発を引き起こす可能性があります。胃癌や潰瘍にまでならないにしても、胃粘膜にダメージを与え炎症が起こり、胃粘膜本来の機能を失わせます。また、このヘリコバクター・ピロリは胃酸の分泌にも影響し、胃の中の状態を変化させて本来の調子を崩してしまいます。
 
 国内でのヘリコバクター・ピロリの感染率は人口の35パーセントと多く、特に50歳以上ではもっと高い感染率になります。全員が胃潰瘍や胃癌などの関連疾患になるわけではありませんが、このピロリ菌を退治することで胃粘膜が健康になり、癌や潰瘍予防をすることが出来る事が証明されました。
 
 この事を受けて治療時の保険の適用範囲も広がり、検査や治療の手順が簡単になりました。
 
 検査は尿の提出のみや、小さな検査薬を飲む前後で紙風船をふくらませる尿素呼気試験などで実施され、苦痛も無く大変簡単です。
 
 もし検査でヘリコバクター・ピロリの存在が疑われたときは、まず胃カメラなど精密検査を行い、そのあと薬を飲んでヘリコバクター・ピロリを退治する治療を行います。
 
 当院では2016年6月から、ヘリコバクター・ピロリの発見を目的とした健診を開始しています。検査は尿を提出するだけで、料金は1000円です。お気軽にお問い合わせ下さい。
 除菌(退治)後も定期的な胃カメラ検診などを受けて、いつまでも健康な胃腸を保ちましょう。
 
 
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/211/201612141541047257.JPG
 
あなたの薬、多すぎませんか?~ 高齢者の薬のトラブル~
あなたの薬、多すぎませんか?
 
~ 高齢者の薬のトラブル~

佐久間文子  
一条クリニック
( 道北の医療2016年6月号掲載記事)

 高齢になると多くの病気を合併し、飲まなければならない薬がとても増えます。処方薬が6種類以上になると、副作用を起こす人が明らかに増えると言われています。それは、老化によって薬を分解する肝臓や排せつする腎臓の働きが落ちるため、薬の効果が長引いたり効きすぎたりします。
 また、血液などの水分、脂肪、タンパク質の量が変化するため体内の薬の分布が乱れやすくなります。さらには、予期しない薬同士の相互作用が起こる場合もあります。
 このような副作用が起こるリスクのあるものは「潜在的に不適切な薬剤」と言われ、処方継続の必要性を精査すべきと欧米では数年前から指摘されています。特に「処方の連鎖」(例えばAという症状に処方したB剤でCという副作用が生じ、それが薬の副作用と思わないで病気が悪化したと考えてさらにD剤を処方する)により多くの薬が併用される事もあります。
 
 このような状況に対し、日本老年医学会が昨年末に「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」を発表しました。その中で、副作用を生じやすい75歳以上及び75歳以下でも要介護状態の高齢者を対象に、処方の見直しを検討すべき薬剤のリストを明らかにしました。患者さんが多い病気を中心に、リストアップされた薬を紹介します

1) ふらつき・転倒、認知機能
低下などが出やすい薬
 
 ベンゾジアゼピン系薬は睡眠薬として、あるいは不安を和らげる薬として処方頻度が高いのですが、ふらつきなどの症状が出やすく可能な限り使用を控えるべきです。ただし、急に中止すると不眠や動悸、吐き気などの離脱症状が出やすいため慎重に減らす必要があります
三環系抗うつ薬やパーキンソン病の薬、アレルギー薬、などでも認知症と紛らわしい症状が出る事があります。

2) 食欲低下などの消化器症状が出やすい薬
 
 骨粗鬆症薬で高カルシウム血症になったり、心不全などに処方されるジゴシンによる中毒、あるいはアルツハイマー病治療薬のドネぺジルなどでも嘔気などの消化器症状が出やすくなります。

3) 脳梗塞や心筋梗塞の予防に使う抗血栓薬
 
 血をサラサラにして血管に血栓などを詰まらせないようにする半面、出血を起こしやすく、胃や大腸などの消化管出血や脳出血の危険性が高くなります。

4) 低血糖を起こしやすい糖尿病治療薬(インスリン製剤や内服薬)
 高齢者では典型的な低血糖症状(冷汗、手の震え、動悸など)が分かりにくく、認知症症状に似た症状などが出たりします。低血糖によって心筋梗塞や脳梗塞の危険性も高くなります。
 
 以上、簡単にいくつか例をあげました。
他の薬でも副作用と思われる症状などが出たら、すぐに主治医に相談しましょう。多すぎる薬も問題ですが、現在困っている症状に対して出されている薬などを、副作用への不安から自己判断で中断してしまうのはやめましょう(病気が悪化します)。
 生活習慣の見直しなどでも薬に頼らずに症状が改善する場合もあるので、不安な事がある時には主治医や看護師、あるいはかかりつけ薬局の薬剤師などに気軽に相談して下さい。
 
 
 
 

http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/236/201612141638302461.JPG
 
 
骨密度検診Q&A
骨密度検診Q&A
 

高松 玄  
一条通病院 
放射線科技師

(道北の医療2016年5月号掲載記事)

一条通病院では、みなさんに骨粗鬆症の可能性や程度を調べる骨密度検診をお勧めしています。
骨粗鬆症とは加齢やその他の原因で骨がもろくなり、腰痛や骨折が起こりやすくなってしまう状態を言います。骨折などを起こしてしまう前に、自分の骨の状態を知り、早めの対策をすることが大切です


 だれでも受けられるの? 

20歳以上の方が対象です。ただし、バリウム検査後1週間、CT検査などでX線用造影剤を使用した当日は受けられません。また、既に骨粗鬆症の治療を受けている方は保健診療で行いますので検診の対象外です。

 体のどの部分を測るの? 
 

骨密度を測定するには、超音波を使う簡易的な方法や、X線を使って詳しく測定する方法などがあり、測定する部位も腰や手首やかかと部分などがあります。
当院の骨密度測定は、DEXA法と呼ばれるX線を使う方法で、腰椎(背骨)と大腿骨(足の付け根部分)を測定します。腰椎は骨量の変化が起こりやすく、大腿骨は骨折を起こしやすい部位で、この2ヶ所で診断するのが最も標準的な方法と言われています。
腰椎と大腿骨で測るのが基本ですが、過去に骨折や手術をした部位は除外して測定します。


 実際にはどんな事をするの? 

まず、ボタンや金具類のついているものを脱ぎ、検査着に着替えます。湿布やカイロなども取ります。着ているものにボタン等が全くない場合は、着替えずにそのまま測定出来ます。
専用の検査台に仰向けに寝て頂き、足先の角度を合わせてベルトで固定します。
そのまま3分程度、動かずにいて頂ければ測定は終了です。痛みなどはありません。
仰向けに寝られない方は、椅子に座って手首の骨を測る方法等もありますのでご相談ください。

 結果はすぐに分かるの?  


骨粗鬆症の可能性や治療の必要性について、測定結果を専門の医師が見て判断します。そのため結果は後日郵送になります。

 検診の結果、治療が必要と言われたら? 

まず、整形外科を受診して医師にご相談ください。
当院では毎週金曜午後、骨粗鬆症専門外来(予約制)を行っていますが、それ以外の日でも大丈夫です。

 X線の被ばくが心配 

被ばくはありますが非常に少ない線量なので、健康への影響を心配する必要はありません。ただし、妊娠中やその疑いがある期間は避けるべきです。

 予約は必要?料金は? 

予約は必要ありません。平日9〜16時、土曜日は11時までにご来院ください。料金は友の会員500円(通常1620円)です。友の会送迎バスなども利用出来ますので、一条通病院もしくは最寄りの診療所にお尋ねください。
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/209/201612141540082392.JPG http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/210/201612141540337252.JPG
 
インターネットで 得られる情報について
インターネットで得られる情報について
 


 千葉 達哉  
一条通病院副院長
(道北の医療2016年4月号掲載記事)

 
 
インターネットが拡げる情報化社会
 
 現代の社会が「情報化社会」と表現されるようになってから久しく時間がたっていますが、皆さんご存知のように医療の現場でも確実に「情報化」は広がってきています。
とりわけ、インターネットの普及には目を見張るものがあり、医学・医療に関する情報を扱うホームページは実に様々なものがあります。そして、当然のことながら、そのほとんどは無料で世界中のだれもが自由に閲覧できる状態にあります。 世界中のどのような人々にとっても同じようなことだと思いますが、インターネットは我々医療を仕事とするものにとっても非常に便利な道具で、特に時間に追われているときなどには瞬時に必要な情報が得られたり、国を問わず離れて暮らしている仲間との情報交換をしたりと、今となってはそれ無しで日々の仕事をすることなど到底考えられないような状況です。
また、おそらく患者さん側にとっても、インターネットは非常に利用価値の高いものであろうと思います。自分が今受けている検査や投薬など、また自分が苦しんでいる病気の情報などは、少し手間をかけて丹念に情報を収集すれば、専門医と遜色のないレベルの知識が得られることも珍しくはありません。
また、同じ病気に苦しむ人たちの闘病体験などを語り合うような目的で開設されているホームページなども見受けることがあり、英語を使うことができれば、それこそ闘病仲間は世界中にいるといっても過言ではありません。

インターネット情報はすべて正しいのでしょうか?
 
 私たちが日常診療でお会いする方々の中にも、様々な医療情報を調べてから外来に来られる方がいますし、入院している患者さんのご家族の方が患者さんご本人の病気などについて調べて来られていろいろ相談を受けることもよくあります。
我々も患者さん側への可能な限りの情報提供を心がけてはいますが、それでも情報が足りない場合があることは否めませんし、情報不足を不満に思っていらっしゃる患者さんにはインターネットは非常に魅力的だろうと思います。
しかし、これも皆さんよくご存知のように、インターネットで得られる情報は玉石混交です。誰でも情報を得ることができますがそれと同様に、だれでも情報の発信者となることができるのです。つまり、情報の発信者が必ずしも信用に足る人物であるとは限らないということです。十分な根拠のないまま持論を展開する方、何らかの営業行為を潜在的に仕掛けている方、あるいは悪意を持って攻撃をしている方などなど、情報を受け取る側にも十二分な注意が必要です。


インターネット情報を鵜呑みにせず、相談を


  先ほども少し書きましたが、患者さん側が得る情報は身近な検査や薬についての内容が多く、有益な情報をうまく土台に使いながらより良い治療について相談していくことができる場合も多々あるのですが、やはりあまり好ましくない情報を得られる方も中にはいらっしゃいますので、ある種の誤解を解くための説明が必要になる場合もありますし、ご本人にとって返って不利益ではないだろうか、と思わざるを得ない場合もあることは事実です。
患者さんにとって最もよい結果をもたらすための情報を提供するよう心がけておりますので、どういうところでどのような情報を得て、その情報に対してご自分はどのように考え、どのようなことを希望されるのかといったことを是非診療の場で聞かせていただきたいと思います。得られた情報の全てが悪いということを言っているわけではないのですが、特に医療に関する情報は健康に関わることが多いだけに、鵜呑みにせずに一度ご相談ください。


 
2025年問題と地域包括ケア

2025年問題と

地域包括ケア


鈴木 和仁 
一条通病院副院長
(道北の医療2016年3月号記事)


【2025年に何が起こるのか?】
 皆さんは「2025年問題」という言葉をご存じでしょうか?
戦後昭和22年から昭和24年の間に生まれた、いわゆる団塊の世代が、2025年にすべて75歳以上の後期高齢者となり、全人口に占める75歳以上人口の割合が現在の12%から18%に増加します。しかも、総人口は減少し続ける一方で、後期高齢者人口はその後も20年以上にも渡り減少しないと推計されています。

【後期高齢者数が増加すると何が起こるでしょう?】
 まず、亡くなる方が増加します。2015年は128万人であった総死亡数が、160万人を越します。また認知症高齢者が増加します。65歳以上の認知症患者数は2012年の462万人が2025年には700万人に増加すると推計されています。さらに、一人暮らしの高齢者が全体の4割に達するとする推計されています。

【「地域包括ケア」とは?】
 今後10年で進行する、こうした状況に対応するため、政府は2012年に「地域包括ケア元年」を宣言し、医療・福祉・介護を住み慣れた場所で一体的に提供すること、その際に拡大する一方である公的介護保険の強制的な縮小を目的に、サービス提供は自助・互助を中心とする体制に転換することを宣言しました。また中学校区を基本に人口1万から2万人程度の範囲で、医療・介護・住まい・生活支援・介護予防の提供体制を確立するための準備を開始することとなりました。これらを称して「地域包括ケア」と名付けました。

【何が問題か】
 そもそも今後増大する医療需要・介護需要に対応できるだけの受け入れ能力を整備出来るのか?そのコストは誰が負担するのか?人材育成は間に合うのか?だれが責任を持つのか?など問題は山積です。医療分野ではすでに、大都市圏でさえ救急医療の体制は破綻しつつあり、札幌でも救急車のたらい回しが問題となっています。
 これに対して政府は、医療については高度急性期病床と療養病床は縮小・急性期病床は現状維持・回復期リハビリ病床は拡大の方針を示しています。高齢化の進展による医療需要の増大に対して、在宅医療を中心とした医療提供体制への再編を目指しており、「看取り」についても在宅看取り+病院への短期間の入院看取りを基本と考えています。今年4月に実施される診療報酬改定でも、500床以上の大病院への受診は、初診時に別料金5000円を徴収することが決定されるなど、診療報酬上の在宅への誘導も急速に進んでいます。
 介護分野でも、要支援の軽度者は介護保険の対象から除外することや、特養への入所も要介護3以上に制限されるなど、再編がすでに始まっています。
さらに、すべての場面で、自助つまり自己責任が強調され、住まいも生活支援も介護予防も自力でサービスを買うことになります。すでにローソンなどの大手コンビニや黒猫ヤマトなどの大手引っ越し業者が生活支援サービスの提供を開始しており、ケアマネージャーが常駐するコンビニ店舗も生まれています。またサービスを購入する経済的余裕のない人は、親戚や隣人に助けてもらいなさい(互助)ということを公然と宣言しています。
 このように、政府の財政支出を抑制するだけでなく、大企業の市場参入を拡大することを目的とした再編が着々と進められています。

【民医連としての対抗軸はどこに?】
 住み慣れた地域で最後まで自分らしく生活すること、認知症になっても地域で助け合いながら生活を継続すること、癌末期になっても出来るだけそれまでの生活を維持すること、そもそも認知症にならないための予防活動に取り組むことなどは、多くの人々にとって共通する願いであり、それを実現するためには、周りの人々や行政とも協力し合いながら、ひとつひとつ課題を解決していくことが大事です。
また自宅を基本にした住まいの確保に公的援助を導入すること、医療介護への支出を拡大し増大する医療需要・介護需要に応える体制を確保することは、大きな政治課題です。
 今年7月には参議院選挙も控えています。戦争法廃案にくわえて、こうした医療・介護・福祉の抜本的再編をこのまま許すのかが問われています
 
ロコモ、 知っていますか
ロコモ、知っていますか
山内 潔  
条通病院 院長
(道北の医療2016年2月号掲載記事)

  ロコモとは、ロコモティブシンドローム(運動器症候群)の略称で、最近の認知度調査では、44・4%と半分近くの人にこの名称が知られるようになっています。

運動器とロコモ
 
   運動器は、①骨(身体を支える)、②関節と椎間板(曲がり、衝撃を吸収する)、③筋肉・神経系(体を動かし、制動する)から構成されています。それぞれの部位の疾患には、①骨粗鬆症、骨折、②変形性関節症、変形性脊椎症、③サルコぺニア(加齢性筋肉減少症)、脊柱管狭窄症、神経障害などがあり、疼痛や関節可動域制限、柔軟性低下、筋力低下、バランス能力低下を起こします。中高年になると、複数の運動器疾患を持っていることも多く、これらが複合して移動(歩行)機能が低下してきます。このような状態を「ロコモ」といい、進行すると、日常生活の制限、社会参加制限、要介護状態になっていきます。


「ロコモ度テスト」
 
 自分の移動能力を調べるためのテストで、次の3つがあります。
①立ち上がりテスト(図1)
下肢筋力を測ります。
40㎝、30㎝、20㎝、10㎝の高さの台を用意し、両脚または片脚で座位から起立します。立ち上がることのできた一番低い台の高さを測定値とします。どちらか一方の片脚で40㎝の高さから立ち上がれない場合は要注意。
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/206/201612141536172108.JPG
    図1
 
 
②2ステップテスト(図2
歩幅を測定しますが同時に下肢の筋力・バランス能力・柔軟性などを含めた歩行能力が総合的に評価できます。最大2歩の歩幅を測定し、その値を身長で割り、2ステップ値を算出します。2ステップ値が1,3未満の場合は、要注意。
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/208/201612141539407378.JPG
    図2   ※ 図1図2は日本整形外科学会 ロコモパンフレットより転載
 

③ロコモ25
 体の痛みや日常生活での困難な事項についての25項目の質問票で、自覚的な運動機能評価です。ロコモ予防のための運動=「ロコトレ(ロコモーショントレーニング)」
中高年の移動機能低下には、足腰の筋力強化、バランス力の強化が重要です。膝、腰に過重な負担にならないことが大切で、簡単にできる方法として、次の2つの「ロコトレ」がお勧めです。
【1】「片脚立ち訓練」:バランス能力をつける運動です。
【2】「スクワット」:下肢筋力をつける運動です。
方法は、先月の「道北の医療」の「みんなの医療講座」(森谷リハビリ科技士長)に詳しく記載されていますので参照してください。


食生活でロコモ対策

① 正しい食生活で運動器の健康をまもりましょう
 メタボもやせすぎも要注意です。肥満になると腰や膝に負担がかかり、ロコモの原因になります。また、栄養が不足すると、骨や筋肉の量が減ってしまいます。毎日3回のバランスのよい食事が大切です。
② 「骨」と「筋肉」を強くする食生活
 骨をつくる材料のカルシウム(牛乳・乳製品、小魚、緑黄色野菜、海藻類、大豆製品)、タンパク質(肉、魚、大豆)、ビタミンD(鮭などの魚、キノコ類)、ビタミンK(納豆、青菜)などをしっかりとりましょう。また、筋肉の量を増やし、筋力を高めるためには、タンパク質が必要ですが、エネルギー源となる炭水化物や脂質もしっかりとることも大切です。
 
 
転倒予防について
 
転倒予防について
 


森谷 大輔   


リハビリテーション科
理学療法士 技士長
(道北の医療2016年1月号掲載記事)
 
 
 新年を迎え外は雪が積もり、足元が滑りやすい季節になりました。
外出先での「ツルツル路面」では注意が必要です。実は屋外だけでなく65歳以上高齢者の方は住宅内での転倒による事故発生の割合も高く、「居室」では25・8%「階段」では13・1%「台所」では11・9%と多く、歩行時につまづき転倒すると言われています。また、その転倒が原因で介護を必要とするきっかけになることも多く、転倒予防はとても重要です。
 今回は転倒の原因と、転倒予防の運動について紹介します。

【転倒の原因】

①身体関連
・体の状態の変化…力が弱くなる。バランスが悪くなる。視野や視力が悪くなる。感覚が鈍くなる
・精神・心理面…焦り、不安、 緊張、興奮、 注意力不足
・服薬状況…服用している薬の数

②環境関連
・履物…脱げ易いもの。滑りやすいもの
・床の状態…デコボコや(小さい)段差滑りやすさ
・明るさ…夜間などの足元の明るさ
・床の障害物…電気コードカーペットなどの折れ端。滑りやすいマット


【転倒予防に効果的な運動】
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/207/201612141536463735.JPG
下肢筋力トレーニングのみでなくバランストレーニングを組み合わせることが有効だと言われていま
す。
 
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/204/201612141535194639.JPG
 下肢筋力をつける「椅子からの立ち上がり練習」深呼吸をするペースで5?6回繰り返します。1日3回行いましょう。
 
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/205/201612141535414888.JPG
 バランス能力をつける「片脚立ち練習」左右1分間ずつ、1日3回行いましょう。
 
 
 
 
作業療法について
作業療法について
 

山本 太地     

道北勤医協 一条通病院
リハビリテーション科
係長 作業療法士
(道北の医療2015年12月号掲載記事)


リハビリテーション(以下、リハビリ)の一分野である「作業療法」をご存知でしょうか?リハビリといえばストレッチや筋力トレーニング、歩行練習といったいわゆる「理学療法」のイメージが大きいと思いますが、人間は筋力があって歩けるということも重要ですが、それだけでは生きていけません。朝起きて、顔を洗って、食事をして、歯を磨いて…といった様々な「生活行為」を行なうことで毎日の生活を営んでいます。そういった「生活行為」に焦点を当てたリハビリを実施するのが「作業療法」です。作業療法に従事するものを「作業療法士」といいます。

【作業療法とは】
 作業療法は「身体または精神に障害がある者に対して、主体的な生活の獲得を図るため、作業活動を用いて治療・援助を行なうこと」と定義づけられています。
 具体的な対象疾患は脳卒中、脊髄損傷、パーキンソン病などの神経疾患をはじめ、骨折や外傷などの整形疾患、統合失調症や認知症といった精神疾患など幅広いものが含まれます。それらの疾病を患い今まで通りの生活を送ることが困難な方に対して、筋トレ等機能的な練習に並行し、実際の環境で動作方法の練習を行なったり、動作しやすい環境の調整、時にはご本人やご家族と一緒に考え取り組みます。

【作業療法における作業】
 
 対象としている作業には、食事、入浴、着替えをしたりといったセルフケアだけでなく、掃除、除雪、買い物、ごみ捨てといった応用的な生活行為も含まれます。
 それらの生活行為が実行できるだけの身体機能・認知機能の練習をはじめ、準備や計画の補助、道具の選定、環境の調整、サポートしてくれる方との連携を行なうのも作業療法の一つと言えます。
 また、余暇や地域活動といった社会的役割・社会的接点も人間の生活の一部として重視しており、それらを促進する介護予防教室や地域サロンの場に作業療法士が参加することも増えてくると思います。

【新一条通病院の設備】
 
 9月に移転した新病院では、入院中から自宅での生活を想定したリハビリを実施できるように設備が追加されました。その一部と使用例を紹介します。

①ADL室(写真1、2)…
 畳の小上がりと台所が設置されており、IH調理器・冷蔵庫も使用できます。ご自宅に帰られた際に調理や炊事を行なう方、畳の上で布団を上げ下ろしして生活されている方などの実践的な練習に活用しています。
②リハビリ用の浴室(写真3)…
 一般家庭に備わっているものと同様のユニットバスです。自宅にてお一人で入浴される方の練習はもちろん、人工関節などで浴槽の入り方に注意が必要な方の動作指導などに使用しています。また、ご自宅でも入浴が出来るように、福祉用具の選定も行っております。
 
 http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/233/201612141636403851.JPG http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/235/20161214163807658.JPG
 http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/234/201612141637042514.JPG
 
 
糖質制限食について
糖質制限食について
 
 
坂牧 勉    

道北勤医協    
一条クリニック院長

(道北の医療2015年11月号掲載記事)
 
 京都高雄病院の江部康二先生が提唱された糖尿病・肥満に対する食事療法で、現在大変話題になっています。ホームページ上の記載をそのまま説明します。
 血糖値を上昇させる糖質の摂取をできるだけ抑えて、食後高血糖を防ぐのが糖質制限食の考え方です。簡単に言えば、主食を抜いておかずばかり食べるというイメージになります。抜く必要がある主食とは、米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類など糖質が主成分のものです。肉や魚などのタンパク質や脂質の多い食品を食べてもかまいません。
 調理方法についてもとくに制限はなく、炒め物や揚げ物などの油を使った料理も大丈夫です。
① 魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
② 糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
③ 主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
④ 飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もかまいません。
⑤ 糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
⑥ オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
⑦ マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
⑧ お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。ただし量は控えめに…
⑨ 間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
⑩ できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。
 
 既に経口血糖降下剤(グリメピリド、グリミクロンなど)の内服や インスリン注射をしておられる糖尿の方は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談して頂きたいと思います。糖質制限食は、相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応となりません。肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。
 炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。必ず主治医にご相談下さい。
上記のようにそのまま記載しましたが、残念ながら現在の日本糖尿病学会でははっきりとは支持されていないのも現実です。
 実際の臨床現場でもみんながみんな効果ありとはいえない気がします。
Ⅰ 、元々あまり糖質を摂っていなかった人や痩せている人
Ⅱ 、外食が多く糖質が抜けない人
Ⅲ 、糖質が大好きで止められない人
は難しいようです。効果あっても続けられず、リバウンドする方も少なくないようです。もちろん肥満ぎみで、ラーメンとライスやお菓子が好きだなんていう人は効果が高いようです。
 今後は日本人に対して大規模臨床試験を行い、どういうタイプの人に効果あるのか検証が必要でしょう。
 
動脈硬化と検査の話
動脈硬化と検査の話


大山 豊    

一条通病院検査科主任
(道北の医療2015年10月号掲載記事)
 
動脈硬化とは

血管がもろくなり、血管の内側に傷がついたり、血管のつまりが起きるのが動脈硬化です。
動脈硬化自体に症状はありませんが、気づかないうちに徐々に進行し、「合併症」を引き起こす原因になるため注意が必要です。
合併症には、心臓の心筋梗塞、狭心症や、慢性腎臓病、脳血管障害、足の痛みを起こす閉塞性動脈硬化症、腹部大動脈瘤などがあります。
 
動脈硬化の検査

今回は、当院で行っている2つの動脈硬化の検査をご紹介します。
①ABI/PWV検査
「ABI( エー・ビー・アイ:足首・上腕血圧比)」と、「PWV(ピー・ダブリュー・ブイ:脈波伝播速度)」の2つを同時に調べる検査です。
ベッドに寝ていただき、両腕と両足首の血圧・脈波を同時に測ります。検査は5分〜10分程度です。
◎「ABI検査」とは…「血管のつまり」を調べる検査です。
仰向けに寝た状態では、腕よりも足首の方が血圧が高いのが正常ですが、血管のつまりがあると血流が悪くなり足側の血圧が低くなります。
◎「PWV検査」とは…
「血管の硬さ」を調べる検査です。血管の状態は「カチカチに硬い」よりも「しなやかでやわらかい」方が良好です。血管は硬くなると、もろく傷つきやすくなります。
この検査では、心臓からの脈が末端(足)に伝わる速さを測定します。血管が硬いと速度は速くなり、しなやかだとゆっくり脈が伝わります。この速さにはおおよその年代ごとの平均が分かっているので、自分の血管が何歳代か(血管年齢)も分かります。
②頸動脈エコー検査
「エコー検査」とは超音波を使って体の内部を写真に撮る検査です。動脈硬化が起こりやすく、また観察のしやすい首の血管(頸動脈)を、「全身の血管の代表」として調べます。
動脈硬化があると血管の壁にコレステロールがベタベタとくっつき、それを白血球の仲間(マクロファージ)が取り除こうとして血管の壁の中に入り込み、その部分が膨らんだ状態になります(プラーク=粥腫:じゅくしゅといいます)。これを写真に撮る検査です。
これらの検査で自分の血管の状態を確認し、合併症を起こさない健康な生活を送りましょう。
 
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/231/201612141635483985.JPG http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/232/201612141636142732.JPG
 
 
 
MERSについて
MERSについて
 
 
佐藤 一人    

一条通病院         
在宅医療部 部長
医師
(道北の医療2015年8月号掲載記事)
 
 海外旅行者数は年々増え、それにともない海外で感染症にかかる人も増えています。韓国では「中東呼吸器症候群(MERS・マーズ)」の感染が問題となっており、7月8日現在の感染者数は186人、そのうち死亡者は34人となっています。
現在国内での発生はありませんが、MERSとはどの様な病気なのか、また海外で感染症にかからないために大切なことを整理してみたいと思います。


質問1  マーズとは何ですか?
   MERSは2012年に初めて確認されたウイルス性の感染症で、コロナウイルスが原因です。

質問2  どこで発生していますか?
   主に中東地域で患者が報告されています。このほかヨーロッパ・アフリカ・アジア・北米からも患者の報告がありますが、いずれも中東地域への渡航歴のある人もしくはその接触者です。

質問3  症状は?
   発熱・咳などの呼吸器症状や下痢などの消化器症状があり、高齢者や糖尿病・慢性肺疾患などの持病のある人は重症化する傾向があります。

質問4  どのように感染しますか?
   まだ正確にはわかっていませんが、主に飛沫感染(咳やくしゃみによるもの)または接触感染と考えられています。


質問5  予防や治療は?
 
   発生が確認されている地域では咳やくしゃみなどの症状のある人との接触を避け、また動物(ラクダ含む)との接触は可能な限り避けることが重要です。現在MERSに対するワクチンや特効薬はなく、症状に応じた治療を行います。

質問6  ヒトからヒトへの感染は?
 
   海外の感染対策が不十分な医療機関では患者から医療従事者や他の患者への感染が報告されています。ただし飛沫感染するインフルエンザと比較しても感染力は弱く、次々に感染することはありません。

質問7  発生地域に旅行する場合に注意することは?

〈旅行前〉
持病のある方は感染症にかかりやすいので、かかりつけ医に相談し渡航の是非について検討しましょう。

〈旅行中〉こまめに手洗いをする、無加熱の食品(飲料水を含む)を避け、果物や野菜は食べる前によく洗う、などの一般的な衛生対策を心がけて下さい。
あわせて咳やくしゃみのある人との接触を避けましょう。

〈旅行後〉帰国時に発熱や咳などの症状のある方は、空港の検疫所へ相談しましょう。帰国後14日以内に症状の出た方は、直接病院へは行かずに最寄りの保健所に連絡し、発生地域に滞在していたことを伝えます。

◇海外で注意すべき感染症
    MERS以外にも海外へ渡航する際に注意すべき感染症が多くあります。その一部をあげてみますと、蚊やマダニが媒介するマラリアやデング熱。動物から感染する鳥インフルエンザ・狂犬病やエボラ出血熱(エボラ出血熱は患者の血液などからも感染します)。日本でも感染がみられる麻疹やポリオ。水や食べ物から感染する消化器系の感染症にはA型肝炎やコレラ、赤痢などがあります。

◇海外での感染予防のポイント

① 外務省などの海外安全ホームページなどで、渡航先での感染症の発生状況や注意事項を確認する。
② 必要な予防接種を行う。
③ 手洗いやアルコール成分を含むシートの使用や生水を飲まない、食品は加熱する。
◆海外で感染症にかからないために正しい知識と予防法を身に付け、楽しい旅行にしましょう。
 
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/230/201612141635206792.JPG
 
 
誤嚥(ごえん)について
誤嚥(ごえん)について


竹内 久恵   

一条通病院     
リハビリテーション科
言語聴覚士
(道北の医療2015年7月号掲載記事)
 
 私たちは、一日の生活の中で食事や唾液を500回〜3000回飲み込んでいると言われており、唾液を飲み込むことで口の中を清潔に保つ働きをしています。

嚥下障害とは
 この唾液や食べ物などを飲み込み胃まで送る一連のうごきを〝嚥下〞(えんげ)といい、私たちが普段食べたり飲んだりするときに、「食べられない・食べにくい・飲みこめない・飲み込みにくい」など、飲み込みの障害を〝嚥下障害〞(えんげしょうがい)と言います。
 私たちが食べ物を口に入れた時、口の中に入った食べ物や飲み物が胃まで運ばれるのですが、ときに経路を間違えることがあります。食べ物の通り道である食道ではなく手前に位置している空気の通り道の気管に入りそうになることや、実際に入ってしまうことがあります。

誤嚥性肺炎とは
 気管の感覚が保たれ、食物が入ってきたことに対して防御反応が出る場合は咳が起こり排出しようとします。これが〝むせ〞です。むせることで飲食物の一部が気管に入りこむことを防ぐのですが、感覚低下により〝むせ〞が起こらない場合や咳をする力が弱い場合は充分に排出できないことがあります。この時、排出できずに気管に入りこみ声帯の下に入ってしまった状態を〝誤嚥(ごえん)〞といい、それによって起こる肺炎を〝誤嚥性肺炎〞といいます。
わが国の肺炎の多くを占める高齢者肺炎はほとんどが誤嚥性肺炎と言われています。誤嚥性肺炎は、食事の誤嚥を繰り返すほか、胃の内容物の嘔吐にともなう誤嚥、消化管からの逆流による誤嚥、夜間に口腔内の雑菌を含む微量の誤嚥を繰り返すことによって発症する場合があります。

ここで、嚥下障害や誤嚥が疑われるポイントをいくつか上げたいと思います(図)
これらの症状に心あたりがありましたら、医師にご相談ください。

食事中の誤嚥を予防するには

① 飲み込んでから話をする。
② 食事中の姿勢に気をつける。

【良い姿勢】かかとが床にしっかりついており、すこし前かがみになり軽く顎を引いた状態の姿勢(写真1)

【悪い姿勢】かかとが床から離れており、背もたれによしかかっており、顎が上を向いている姿勢。(写真2)

テーブルの高さは高すぎず、両足のかかとが床につく高さの椅子を使用すると安定して座ることが出来ます。
 
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/227/201612141634027773.JPG
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/228/201612141634333544.JPG http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/229/201612141634585962.JPG



 
見直しましょう こどものメディア漬け
見直しましょう こどものメディア漬け
 

杉森 真由美 

一条クリニック
副院長
(道北の医療2015年6月号掲載記事)

   2008年以降、スマホやタブレット端末が急速に普及し、社会生活全般の利便性を高め、教育や医療においては革新的なツールとして有効活用されています。
 その一方で子供でも簡単に何時でも何処でも無制限にインターネットに接続できるようになり、遊びや人間関係、生活習慣の点で大きな変化をもたらしています。日本の子どもたちは世界一のメディア漬けであるという調査の結果が出ました。
 
親子関係、虐待への影響
 
 生まれた時からテレビがあり、授乳しながらテレビを見たり、メールを打ったりしている母親が八割をこえています。
泣いたりぐずったり赤ちゃんに子育てアプリの画面を見せて対応している親も珍しくありません。ぐずったら赤ちゃんを抱き上げ、目を合わせ、暖かい言葉をかけて相手をしてあげることで安心感と親子の愛着が育まれます。親も子どもとともに親として成長していきます。親に対する信頼感、安心感は一生続くヒトとして最も大切な心の基礎となります。わが子への愛着形成が不十分な子育ての悲劇が虐待です。虐待は増加の一途です。

身体への影響
 
 視力の低下は深刻です。平面を見続けるため、特に立体視力が育たず、ボールを顔で受けたり、階段を踏み外す子どもたちが増えています。
 筋力の低下もともない、長時間立っていられない、長く歩けない、バランスをくずして転ぶ転ぶときに地面に手を出せず顔から落ちてしまうといったことがおきてしまいます。休日の長時間ゲームのあとに肩こり、頭痛、めまい、吐き気、腹痛で受診する子が多数います。

自律神経、五感への影響
 
 外遊びが減り、体が鍛えられなくなると体温調節、血圧調整などの自律神経の発達に異変がみられるようになります。メディア漬けの生活では特に触覚、嗅覚、味覚の発達は期待できません。聴覚については「人の声が耳障りだ」という子が増えてきます。人間の肉声よりも機械からの音に安らぎを感じる聴覚が形成されることがうかがわれます。

コミュニケーション能力
 家族や友だちとの交流、言葉のやりとりが少なくなり、笑顔が失われ、表情が乏しくなってきます。言語発達は幼少期にどれだけ多く声に出して言葉を使うかでその獲得レベルが決まってきます。
親子、子ども同士の遊びの中でルールを理解し、自分の気持ちを言葉で表現し、他人の気持ちがわかるようになります。テレビやビデオ、早期教育では代用できません。
 電子映像メディアの接触の開始時期が早ければ早いほど人間とのコミュニケーション能力の発達を阻害する危険性をはらんでいます。長時間の接触は、感情や欲望を制御したり、相手を思いやるといった人間らしさを司る大脳の「前頭前野」という部分の働きが低下することがわかってきました。


メディア対策
 
 子どもが健全に育つための提言が日本小児科医会から出されています。
① 2歳までのテレビ・ビデオ視聴はひかえましょう。
② 授乳中、食事中のテレビ・ビデオの視聴はやめましょう。
③ すべてのメディアへ接触する総時間を1日2時間まで、ゲームは1日30分までを目安と考えます。
④ 子ども部屋にはテレビ、ビデオ、パソコンを置かないようにしましょう。
⑤ 親と子どもでメディアを上手に利用するルールを作りましょう。

※ここで書かれたメディアとはテレビ、DVD、電子ゲーム、ケータイ、スマートフォン、タブレット端末などの電子映像メディア機器を指します
 
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/225/201612141632583159.JPG
 
 
 
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/226/201612141633369770.JPG
 
 
禁煙が健康への近道
禁煙が健康への近道


松崎 道幸 

道北勤医協  
旭川北医院院長
(道北の医療2015年5月号掲載記事


質問 身体に悪いことはたくさんありますが、タバコ、高血圧、糖尿病のうち、どれがいちばん体に悪いでしょうか?

答 タバコです。何十万人も調べた結果、日本人の男性では、タバコを吸うことがいちばん命を縮めていることがわかりました。人の命を縮める原因の「金メダル」はタバコ、銀メダルは高血圧、銅メダルは糖尿病です。お酒は、あまり命を短くしないようですが、肝臓に悪いし、周囲の人に迷惑をかけるような飲酒はやめましょう。コレステロールや中性脂肪の多いことは、今のところ日本人の寿命にあまり悪い影響は与えていないようですが、今後、命を縮める原因になる可能性はありますから、気をつけましょう。いずれにせよ、今のところ、タバコを吸うことが、一番身体に悪いのです。出来るだけ早く禁煙しましょう。
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/223/201612141632027189.JPG http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/224/201612141632313595.JPG
 
 
 

質問 タバコをやめる良い方法はありますか?


答 あります。禁煙外来に受診する事をおすすめします。保険で禁煙のためのアドバイスと薬がもらえます。3ヶ月の間に5回通院していただき、タバコをやめやすくなる飲み薬や張り薬を使ってタバコをやめることにチャレンジします。医師や看護師が禁煙のお手伝いをします。

質問 成功率はどれくらいですか?

答 3人のうち2人は成功します。自分の意志だけでがんばる時よりも何倍も禁煙に成功する事が出来ます。

質問 費用はどれくらいかかりますか?

答 3カ月分で自己負担が1万5千円前後です。1日一箱吸う方のタバコ代1〜2カ月分ですみます。禁煙に成功すれば、10年間で150万円のタバコ代が節約できますから、とてもお得な治療だと思います。

質問 禁煙の薬には飲み薬と貼り薬があるそうですが、効き目は違いますか?

答 大体同じ効き目です。張り薬にはかゆみ、飲み薬には吐き気が出る方がおられますが、和らげる方法があります。ただし禁煙の飲み薬は、服用期間中は自動車の運転をしないようにという注意がなされています。

質問 タバコを吸わなくとも、他人のタバコの煙を吸っても身体に悪いと言われていますが、どれくらい悪いのですか?(受動喫煙の害)

答 早死危険度で見ると、高血圧や糖尿病と同じくらい身体に悪いようです。つまり、タバコを吸う人と一緒に暮らしている人は、高血圧か糖尿病を患っている人と同じくらい死にやすくなっているようです。これは、何百万人もの人々を調査してわかったことです。
 受動喫煙のある人は、受動喫煙のない人よりも、心臓病や脳卒中に5割から2倍なりやくすく、認知症も2倍なりやすいのです。その結果早死が多くなります。タバコを吸う方のご家族が肺がんや認知症になった場合、原因の半分は、その方のタバコにあるのです。


質問 私は還暦を過ぎています。いまさら禁煙しても手遅れだと思うのですが?

答 禁煙に遅すぎると言うことはありません。70歳で禁煙しても、健康を沢山取り戻す事が出来ます。タバコをやめると寿命が10年近く伸びるだけでなく、自分のことを自分でできる寿命(健康寿命)が4年半伸びます。タバコをやめると、息切れが減って運動できるようになり、足腰が強くなり、自分のやりたいことができ、行きたいところにたやすく行けるようになります。道北勤医協の各禁煙外来にお気軽にご相談ください。

 
 
認知障害の早期発見
認知障害の早期発見
 
あなたの「もの忘れ」、調べてみましょう


萩原 信宏

旭川医院院長
(道北の医療2015年4月号掲載記事)


   65才以上の15%が認知症であると一昨年厚労省から発表されました。認知症になる可能性をもつ軽度認知障害(MCI)=認知症予備軍もいれると、4人に1人となります。74才までは10%以下ですが、85才以上で40%を超えます。男性に比し、女性が多く見られます。

生活習慣病と認知症
 
 喫煙、アルコール多飲の人はもとより、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、メタボ(肥満+血圧、糖尿、脂質のうち2つ)でも、きちんと治療を受けない例にあっては認知症になりやすいと報告されています。生活習慣が認知機能に影響するのです。
 認知症とは認知機能が低下し、日常生活や社会生活に支障をきたす状態です。記憶障害(もの忘れ)を主とする認知機能障害(中核症状)とBPSD=認知症の行動・心理症状(妄想 等の行動異常)が認知症の症状です。

軽度認知障害(認知症予備軍)
 
 記憶障害があっても、日常生活に支障がない段階(軽度認知障害)で見つけることで、その進行を遅らせることができます。
 認知症による物忘れかどうか、それをふるい分け(スクリーニング)する検査があり、その中で最も推奨されているのがMMSE(エム・エム・エス・イー)、で、「今日は何日ですか」など11の設問に答えるものです。

MMSEとMe-CDT
 
 旭川医院でのMMSE検査(昨年10月調べ)は247人(うち67%80才以上)に行われ、認知症診断の上で大きな役割を果たしています。
 しかし、10分ほどの時間がかかること、検査を受ける側が抵抗感を覚えることなどから、もっと簡便で、恥ずかしがらずに出来る検査が待たれていました。
 先日新聞に掲載された(認知機能検査と時計描画検査を組み合わせた)Me-CDT( エムイー・シーデーテー)を早速取り寄せ、旭川医院で取り組みを始めました。MMSEともよく相関されており、3分ほどで、自分ひとりで検査ができるもので、気軽に受けることができます。早期の認知機能障害を見つける上で、有効と考えます。

認知障害の診断
 
 Me-CDTで問題があれば、MMSE検査を行います。さらに脳MRI検査を行い、脳萎縮(海馬の萎縮を含む)、かくれ脳梗塞、慢性硬膜下血腫等の有無を判定し、認知障害が疑われるなら、当院では日赤病院もの忘れ外来に紹介し、その後旭川医院で診療を続けます。
 年令がいけば、もの忘れは出てくるものです。問題は生活に支障をきたす認知症に進むものかどうかを早めに判断し、早めに手を打つことです。早期発見・早期治療で支障なく、あるいは少しの支援で在宅での生活を送ることが出来るのです。Me-CDT,MMSE検査を受けることをおすすめします。
 
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/221/201612141630584365.JPG http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/222/201612141631326745.JPG
   



 
 
最近の脳卒中片麻痺治療
最近の脳卒中片麻痺治療

-電気刺激装置『IVES』について-

長谷川良太

道北勤医協 一条通病院リハ
ビリテーション科作業療法士
(道北の医療2015年3月号掲載記事)

[はじめに] 
 
   2013年の厚労省統計で脳卒中は全死因の4番目で死因別死亡総数の約10%を占めています。
   また、2011年の国民生活基礎調査では介護が必要になる原因のトップが脳卒中で約20%を占めています。その要因としては、脳卒中の約60%に生じると言われている後遺症の影響が考えられます。そして後遺症の中で最も多いのは一側の手足が動かしにくくなってしまう片麻痺であるといわれています。

[脳の可塑性]
(注1)
 
   運動麻痺の直接的な改善が生活の質に直結することから、麻痺の治療に関しては昔から研究がされてきましたが、脳卒中のリハビリテーション分野では、損傷した脳機能の回復は極めて少ないと考えられており、運動麻痺のない手足を中心に使うなど、残存している身体機能で代償手段を獲得することに重点が置かれている傾向にありました。
   しかし、近年では脳卒中においても可塑性があることが報告され、麻痺の手の使用頻度に応じて脳の運動中枢が変化することや、神経経路が強化されることが分かってきました。さらに、その脳の可塑性を踏まえた上で積極的に運動麻痺の治療を行い、一定の効果を得られたとの研究報告が増えています。治療効果の妥当性に関してもNIRS(近赤外線分光法)やfMRIといった、脳血流を元に評価する機器・技術の進歩に伴って、明確になってきました。そして、当院でも2013年から導入されている『IVES』は患者さんの目的動作をアシストし、麻痺のある手足の機能改善に効果のある電気刺激装置として、現在注目を集めています。

[IVESとは] 
 
  『IVES』は随意運動介助型電気刺激装置と言う低周波治療器のことです
 『IVES』が従来の電気刺激装置と大きく違うのは、単なる電気刺激により筋肉の収縮を促すのでは無く、「患者さん本人が発揮した筋出力を電極が感知し、その筋発揮に応じて比例した電気刺激を与える」ことが出来るという点です。もっと簡潔に説明するならば、「本人の力に合わせて、その動作を手伝ってくれる」ということです。これにより、脳から発せられた運動命令が末梢の運動機能で正しく遂行されるため、神経回路そのものが強化されると言われています。また、患者さん本人の筋発揮だけでは行えなかった動作を『IVES』がアシストすることで、生活場面での麻痺手の活用範囲が広がり、脳の可塑性をより高めることが出来るとされています。

[当院での取り組み] 
   当院では2013年より『IVES』を導入し、リハビリテーション場面で活用をしています。先ほども述べたように脳卒中患者さんの運動麻痺の程度は様々なために画一的な使用方法はないので、担当セラピストが患者さんの身体機能を評価し、『IVES』が適応かどうかを判断した上で使用しています。今後は、入院されている患者さんが病棟生活においても使用でき、さらなる運動麻痺の改善を目指していけるように検討しています。


(注 1)損傷された脳神経経路は回復しないが、他の神経経路で代償して回復していく状態のこと。
 
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/219/201612141629544748.JPG
 
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/220/201612141630278280.JPG


 
 
骨粗鬆症診療がさらに進歩中
骨粗鬆症診療がさらに進歩中


芳賀 千明    

一条通病院整形外科医長
(道北の医療2015年2月号掲載記事)
 

はじめに
 
 骨粗鬆症は「骨の強度が低下し、骨折しやすくなった状態」と現在では定義されています。平成23年改訂のガイドラインでは、交通事故や転落事故等の大きな事故による怪我でなく、背骨や大腿骨の付け根に骨折を生じた場合、それのみで骨粗鬆症と診断し、治療を開始すべきとされています。

マーカー検査で骨の新陳代謝が把握可能に
 
  骨粗鬆症は骨を溶かすはたらき(骨吸収)と骨をつくるはたらき(骨形成)のバランスが乱れて骨吸収に傾いて起こりますが、これらはそれぞれ「骨吸収マーカー、骨形成マーカー」として血液または尿の検査で、骨密度測定検査より早期に、鋭敏に骨の新陳代謝の状態を把握できるようになりました。

骨密度と骨質
 
 
    糖尿病の方は骨密度がさほど悪くなくても骨折を起こしやすく、「骨質」が悪くなっていることがわかっています。
   建物の梁(はり)にあたる「骨梁(こつりょう)」が量的に減るのが骨密度低下、質的にジャングルジムの鉄枠が錆びてボロボロになったような状態が骨質の悪化と考えてください。
 同様のことは慢性腎臓病(七〇歳以上の女性の半数が該当)や動脈硬化・高血圧・脂質異常症・慢性閉塞性肺疾患といった生活習慣病でも確認されており、また関節リウマチ等の病気や副腎皮質ステロイドといったお薬によっても起こってきます。
 特に腎臓は骨の新陳代謝の調整に密接に関わっている臓器であり、慢性腎臓病ではその調節に関わっているホルモンが複雑に変化しています。
 
骨粗鬆症の危険因子と早期診断
 これまで骨粗鬆症の原因として更年期以後の女性ホルモン減少による骨吸収促進がまず挙げられ、そのため65歳以上の女性は全て骨密度測定検査を受けていただくことが勧められています。
 その他、65歳未満の方や男性においても、危険因子として①カルシウムの摂取不足、②運動不足、③背骨や股関節部以外のぜい弱性骨折、④両親の股関節部骨折・2㎝以上の身長短縮(背骨の骨折が疑われます)、⑤喫煙・日本酒にして1日200㎖以上の飲酒等が挙げられており、該当された方では骨密度測定やレントゲン検査を積極的に受けていただくべきと考えています。

進化する治療
 
 治療には骨の吸収を抑えるお薬が以前より用いられてきましたが、より強力なものが次々と開発されてきています。
さらに近年では骨の形成を促進する強力なお薬も使えるようになりました。これらののお薬をマーカー検査で骨の新陳代謝の状況とその変化を確認しながら用いることでより確実な効果を得ることが可能になっています。
また、ビタミンD(キノコ類)・ビタミンK(納豆)については骨質改善の効果が認められており、特にビタミンDには転倒予防の効果もあることや不足すると骨吸収を抑えるお薬の効果が不十分となることが明らかになっており、カルシウムとともに不足している場合には補充を行います。
さらに慢性腎臓病ではホルモン状況についても十分に検討しながら治療が行われます。
 進化を続ける骨粗鬆症の治療。骨折の予防とそれによる寝たきりの予防のため、是非今のうちから御相談ください。
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/218/201612141629295585.JPG

 
 
結核について ~けっして過去の病気ではない~
結核について

~けっして過去の病気ではない~


田中 琢   

一条通病院内科医師
(道北の医療2015年1月号掲載記事)


結核は撲滅されていない
 
 かつて結核は“不治の病病、とされ”国民病・亡国病と言われるまで猛威を振るいました。著名人も多くこの病で死亡しており新選組の沖田総司、医学者の緒方洪庵、俳人の正岡子規、作家の樋口一葉等はよく知られているところです。
 第二次大戦後に結核予防法が制定され、感染防御や抗生物質を用いた治療が普及したため、感染者・死亡者数は激減しています。
統計的には1年間にある病気にかかる頻度を、「人口10万人あたり何人発病するか」という指数で表すのが通例です。
 戦後すぐの日本では、年間10万人当たりなんと700人以上の人が感染していました。人口約35万人の旭川で考えると、1年間に2500人もの人が新しく結核に感染していたことになり、驚異的な数字と言えます。
 2012年には、日本国内の感染者数は10万人あたり16・7人にまで減っていますが、これは決して少ない数字ではなく、今でも年間2万人以上の人が新しく感染しているのです。
 お笑いタレント「ハリセンボン」の箕輪はるかさんが、2009年に肺結核に感染したのを記憶されている方も多いのではないでしょうか。このように結核は決して過去の病気ではなく、多くはないにしろ誰もがかかる可能性のある病気だということを知っておかなくてはなりません。

どんな人が感染しやすいか
 
 基本的にはどんな人でも感染する可能性はありますが、特に高齢者、結核の多い国へ旅行した方、医療従事者は感染する確率は比較的高くなります。
また糖尿病・腎不全・HIV感染者・じん肺の方や、抗癌剤・免疫抑制療法・ステロイド治療を受けている方、大量に飲酒をされる方は免疫力が低下していて感染しやすいため要注意です。年に1度は胸部X線の検査が必要です。

結核にかかるとどんな症状が出るか
 
 結核の80%は肺結核です。長引く咳、痰などは比較的分かりやすい症状ですが、お年寄りの場合は食欲不振や衰弱のみが症状のこともあります。
その他には結核性胸膜炎(いわゆる肋膜炎)、結核性リンパ節炎、結核性脊椎炎、結核性髄膜炎、腸結核、腎結核、皮膚結核、喉頭結核等として現れることもあります。
感染した部位の腫れや痛み等が現れる場合もあれば、長引く発熱や倦怠感だけが症状のこともあります。心配な症状があるときは医療機関を受診して下さい。

結核の治療
 
 複数種類の抗結核薬で6~12ヶ月程度の治療が必要になります。排菌(結核菌が咳などで体外に出る)している場合は入院が必要となりますが、排菌がなく体の状態がよければ、通院で治療することもできます。
近年は直接服薬確認療法(DOTS)が行われるようになり、より確実に治療ができるようになっています。
http://www.dohoku-kinikyo.or.jp/files/lib/6/217/201612141629035999.JPG


 
 
<<医療法人道北勤労者医療協会>> 〒078-8341 北海道旭川市東光1条1丁目1-16 TEL:0166-33-1117 FAX:0166-32-6925