一条通病院の乳がんの診断では、視触診の他、年齢に応じて原則としてマンモグラフィーかエコーの検査をおすすめしています。視触診では気付かないような病変が潜んでいないかを調べるためです。また、症状のある方には、マンモグラフィーかエコーあるいは両方を行います。視触診だけで診断することはいたしません。さらに必要であれば穿刺吸引細胞診を追加します。当院では初診の日にこれらの検査を行うことが出来ます。乳がんは小さいうちに発見できればほとんどが治ります。症状のある方はもちろん、ない方も乳がん検診を受けましょう。
乳腺外来 月曜日、第1、第3、第5土曜。担当医 池上淳医師(日本乳癌学会認定医、マンモグラフィ診断医A判定)。待ち時間を少なくするために、予約制をとっています。ご予約はTEL: 0166-34-6600
対象年齢:
旭川市民で以下の条件該当の方
平成23年3月31日現在で満40歳以上の偶数年齢の方
例:満40歳(昭和45.4.2生~昭和46.4.1生)
満42歳(昭和43.4.2生~昭和44.4.1生) 以降同様
検診内容:
問診・視触診・マンモグラフィ( 乳房X線検査)
自己負担額:
40歳代の方 ・・・ 900円、50歳以上の方 ・・・ 700円
※ エコー検査も併用できますので、詳細は看護師におたずね下さい。
※自覚症状のある方は電話予約の際、看護師に相談して下さい。
詳細は旭川市のがん検診のお知らせをご覧下さい。
気になったらすぐに実行、
転ばぬ先の検診を。
一条通病院外科科長 池上 淳
現在わが国の女性の癌罹患の第一位は乳癌で年間3万5千人以上が発症し、約1万人が死亡している。女性の25から30人に1人が生涯の間罹患する、ということになる。予後の良いとされている乳癌であるが特に65歳未満の比較的若年世代で女性の癌死亡の第一位となっている。さらにわが国では40歳代が好発年齢で欧米より若く、社会的にもまた家庭内でも重要な位置にある年齢層であることも問題を深刻化させている。
乳癌発症の危険因子としては人種、遺伝、ホルモン環境、未婚、未産、早い初経、遅い閉経、閉経後の肥満、家族歴などが考えられている。遺伝子変異を伴うごく一部の乳癌は薬物治療や予防的乳房切除でリスクを軽減できることがわかっているが、これら危険因子の中で自発的に予防できるのは肥満ぐらいである。従って乳癌の発症を予防できる決定的な手段がない以上、乳癌で命を落とさないためにも早期発見、早期治療が必要になってくる。
さて、わが国の乳癌検診は1987年度に老人保健法で『30歳以上に問診・視触診検診を毎年行なう』かたちで全国に導入された。しかしこの方法では乳癌の死亡率減少効果は証明されず、2000年度には50歳以上、2004年度には40歳以上はマンモグラフィ併用検診を行うとする通達が厚生労働省から出された。日本乳癌学会検診・診断小委員会も50歳以上に対してマンモグラフィによる乳癌検診は死亡率を減少させると評価、その後の検討で40歳代もやや効果は劣るもののやはり乳癌死亡率を減少させる、としている。
旭川市でも2005年度からマンモグラフィ併用検診がはじまった。40歳以上の女性が対象で2年に1度(偶数年齢)に受ける事が出来る。50歳以上は左右1方向撮影、40歳代は乳腺組織が豊富でマンモグラフィでの病変の発見がやや難しいため左右2方向の撮影となる。
マンモグラフィ検診を受ける事が出来るのは器械、撮影技師、読影医師すべてが認定を受けている施設に限られる。
マンモグラフィ検診での乳癌発見率は自治体により多少の差はあるが。視触診のみの約2~3倍で受診者の数百人に1人である。しかも早期乳癌の発見率が高く、乳癌死を下げる効果が期待できる。しかし、米国のように対象者の70~80%の受診率であれば乳癌の死亡率を下げることは明らかであるが、受診率が低ければ十分な効果が統計上表れない可能性もあり、マンモグラフィ併用検診が軌道に乗るためには対象者への啓蒙、普及が急がれる。
本来検診とは無症状の人を対象にしており、乳房のしこりなど自覚症状がある人は『検診』として受けるのではなく、保険診療で乳腺外来を直接受診する、ということは重要だ。その方がきめ細かい検査、診察を受けることが出来る。また自覚症状があるのに視触診のみで『異常なし』と診断するのは危険である。実際、しこりの自覚症状があったのに前医の視触診だけで異常なしと診断され放置後、しこりが増大して来院される方もいる。このような例は視触診のみの検診が結果的に乳癌の診断、治療を遅らせていることになる。
30~40歳代の乳癌検診にエコーを組み入れるべきかどうか等の課題はあるが、まずは2年に一度のマンモグラフィ検診を大いに利用して頂きたい。さらに、自覚症状がある場合や、不安が残る場合には次回の検診まで待たず、迷わず乳腺外来を受診して頂きたい。